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ウッズホール海洋研究所にて海洋炭素と生物地球化学(OCB)サマーワークショップを開催

By Rebecca Asch(プリンストン大学/シニアネレウスフェロー)

海洋炭素と生物地球化学(以下OCB) サマーワークショップは、海の炭素循環と栄養素の循環についての研究を率いる研究者たちが、その分野での発展を議論し、共同で新たな研究の取り組みを計画するために集まる科学会議である。今年は、アメリカ、マサチューセッツにあるウッズホール海洋研究所で7月25日〜28日に開催された。

Rebecca Asch at R/V Atlantis, Credit: Jasmin John, NOAA/GFDL

Rebecca Asch、ウッズホール海洋研究が運営する調査船の一つ、R/V Atlanti(調査差延)を見学。 Credit: Jasmin John, NOAA/GFDL

今年のOCB会議は、アメリカ国立科学財団と米航空宇宙局(以下NASA)の後援で行われた。NASAは、海洋がどのように二酸化炭素を蓄えるのかを調査するための将来の新しい研究プログラムと北極海での気候変動の影響をさらに理解することに焦点を当てるプログラムを含む2つのプログラムについて提示した。

もう一つのセッションでは、冬季に南極海からデータを収集するために新しいフロートロボットの使用について考察した。これまで、海洋学者がボートで出航し、サンプル採集をすることを禁止するほど冬の状況が過酷だったので、冬季の南極海の海洋学と生態学について限られた知識しかなかった。Jorge Sarmiento(プリンストン大学/ネレウスプログラム主任研究員)による発表では、これらのフロートが南極海での炭素循環の理解に革命をもたらしていることを示した。

また他のセッションでは、インド洋における生物地球化学を取り扱った。そのセッションの中で、海洋循環パターンがどのように漁業の生産性に影響を与えるかについての発表がいくつか見られた。また、別の日には、海洋生態系での「閾値」と「レジームシフト」について討論する専用のセッションもあった。このセッションは、漁業生産に興味のある私たちにとって、おそらく最も関係の深いものであっただろう。このセッションでは、私を含む4つの発表が行われた。

私の発表では、植物プランクトンと魚の両方が、それぞれの季節の行動と成長パターンを変化させることによって、気候変動に順応していることを示すネレウスの研究に焦点を当てた。海洋生物とプランクトンは同じ割合で季節性を変えてきているわけではないため、多くの海域で、魚はより早く産卵してしまうかもしれないとの予測が出ている。これは、幼魚を養うためのプランクトンが十分に繁殖する以前に、魚が産卵する可能性があることを意味している。


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レベッカ アッシュ, 海洋生態系
プリンストン大学

アメリカ出身。スクリプス海洋研究所(米カリフォルニア大学 サンディエゴ校)にて博士号取得。植物プランクトンの季節的大発生や海水温変化の周期が将来の 気候変動によって変化した結果、魚類の産卵時期とのタイミン グがずれる「ミスマッチ現象」が起きるのではないかという 仮説を裏付けるための研究をしている。


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