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北大西洋における季節的な植物プランクトンの増殖は、カイアシ類の越冬方法に関係していた

Rebecca Asch (ネレウスフェロー/プリンストン大学)が共著した論文“Seasonal phytoplankton blooms in the North Atlantic linked to the overwintering strategies of copepods,” が、 Elementa: Science of the Anthropoceneに掲載された。この論文では、北大西洋での植物プランクトンの増殖がいつ、どのくらいの期間で起こるのかを観察した。著者達は、スプリングブルーム(春季大繁殖)開始日と増殖期間について、早期に増殖した場合は繁殖が長期に渡るという相関性を発見した。

要約:
北大西洋で発生する季節性植物プランクトンは、性質が異なる内部ダイナミクスを持ち、その増殖には異なるパターンが見られる。私たちは、リモートセンシングで得たクロロフィル濃度データと変化点の統計を使用し、植物プランクトンの増殖について分析した。その年最初の増殖では、低緯度で春季に始まり、のちに高緯度で夏季に始まった。スプリングブルームが高頻度で起こった地域では(例:増殖が発見された年の割合)、早期に増殖した場合は長期に渡り継続することを示す、増殖の時期と期間の相関性は見られなかった。北大西洋のほとんどのエリアで、植物プランクトンの増殖の発達は多季節に渡り、夏季にクロロフィル濃度がピークとなった。スプリングブルーム開始日は、春の生物季節学インデックスと正の相関があり、異なる地域での海面温度と北大西洋振動に正の相関関係、負の相関関係の両方を示した。植物プランクトン増殖の春季と夏季の特徴に基づいて、北大西洋は二つの地域に分けられる。一つは、1シーズンに限って特定の増殖をする季節的増殖地域で、もう一つは、いくつかの季節に渡って増殖する多季節的増殖地域である。この二つの地域では、増殖開始時期と期間の相関関係に差があり、季節的増殖地域のみにかなりの負相関を示した。著者は、春季の海面近くに分布する発生休止後のカイアシ類(Calanus finmarchicus, C. helgolandicus, C. glacialis, and C. hyperboreus) が、二つの地域間で見られる増殖の発達の差に影響を与えているのではないかという仮説を立て検証した。多量のカイアシ類が後半成長段階において海面近くに春季に発生することが、特定期間に植物プランクトンが季節的増殖をする場所と通常関係しており、増殖の型とカイアシ類の存在量に関連性を意味した。著者は、グレイジング(捕食)が季節的増殖を成形する要因なのか、もしくは 増殖の型によって生息地が発生休止を助成しているのかどうかが決まるのではないかという結論をこの論文で述べ、同時に両要因が互いにその相関性をより強くする可能性を示唆した。

Figure 2. North Atlantic bloom frequency.  Spring (a), summer (b), and fall (c) bloom frequencies defined as the ratio of years with blooms divided by the total number of years over the period 1998–2014.

北大西洋での植物プランクトンの増殖の頻度。春季 (a)、夏季(b)、秋季 (c) の増殖頻度は、1998−2014年の期間の年数で植物プランクトンが増殖した年を割った比率とする。

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