ネレウスプログラム、メディアに取り上げられる
世界の漁業に対して支給される政府の補助金が年間350億ドルにのぼることを示した、ネレウスプログラムの論文がMarine Policyに掲載された。
世界の漁業に対して支給される政府の補助金が年間350億ドルにのぼることを示した、ネレウスプログラムの論文がMarine Policyに掲載された。
人間の経済活動により漁業の持続可能性が脅かされている。IUU漁業(違法、無報告、無規制)による乱獲が、その主要な要因として挙げられる。ネレウスの共同研究グループであるSea Around Usの最近の研究よると、世界の漁獲量の3割が未報告であることがわかった。
カナダ/ブリティッシュコロンビア州沿岸の先住民コミュニティーにおいて、気候変動の脅威による食料と経済保障について調査した新しい研究によると、2050年までに先住民漁業の漁獲量が50%近く減少するだろうということが分かった。
多くの研究により、気候変動による大規模な商業漁業への影響について調査されてはいるが、先住民コミュニティーに焦点を当てている研究は少ない。この研究によると、沿岸先住民コミュニティーは、2050年までに年間670万ドルから1200万ドルの損失を被る可能性があることが分かった。
カナダブリティッシュコロンビア州沿岸の先住民コミュニティーでは、2050年までに50%以上の漁獲量減少が見込まれるだろうという、ネレウスプログラムの研究がPLOS ONEに掲載され、地元や国際メディアから高い関心が寄せられた。
第4回 IMBER(海洋生物地球化学・生態系統合研究)の国際ワークショップIMBIZOが、2015年10月26日から30日にかけ、イタリアのトリエステにあるIstituto Nazionale di Oceanografia and Geofisica (OGS)において開催された。この会議には、世界中から科学者や研究者が集まり、どのように海洋の自然環境システムと人間社会の活動(特に漁業)の影響に関する知見を統合し、多重な地理的スケールを考慮し、環境影響ストレスを処理、分析するかを考察した。
ウィリアム・チュン(ネレウスプログラムディレクター/科学)とガブリエル・レイゴンドー(ネレウスフェロー/UBC)の共著、The Southern Oceanの一章が、Ocean and Climate Platform’s Scientific Notesに掲載された。 Ocean and Climate Platform(海洋と気候のプラットフォーム)とは、ユネスコの支持を受けるNGO団体と研究機関の連合体である。
11月20日から12月1日にかけ、195カ国以上から国のトップがパリに集い、地球の未来について議論する。では、海は、議題にあがるのだろうか。
COP(Conference of Parties=締約国会議) 21とは、気候変動枠組み条約第21回締約国会議である。コペンハーゲンで開催されたCOP15以来、最も重要な気候変動に関するイベントだとして謳われてきた。 そのCOP15では、コペンハーゲン合意(失敗だったという見方が大勢をしめる政治協定)が留意された。そこで、太田義孝博士(ネレウスプログラムディレクター/政策担当)とウィリアム・チュン博士(ネレウスプログラムディレクター/科学担当)が、これらの交渉は成功するか否か、世界の海の未来のために何が問題となっているのか、また、気候変動の影響を軽減するために何をすべきかを討議した。
カナダは、これまでは海洋管理の世界的リーダーという立場にいたが、海洋政策を実施する際の連邦政府のリーダーシップの欠如、海洋科学分野への経費削減、政府関係の科学者が公にその研究結果を発表できる権限が限られていることにより、現在では海洋管理に失策した国へと転じてしまった。
ウィリアム・チュン(ネレウスプログラムディレクター/科学)は、9月15〜18日にかけてブラジル国立宇宙研究所(INPE)で開催された 気候変動に関する政府間パネル (IPCC) にて、ネレウスプログラムの研究” Regional Climate Projections and their Use in Impacts and Risk Analysis Studies ”に関する発表を行った。
ウィリアム・チュン(ネレウスプログラムディレクター科学担当、研究責任者)中国海洋地域に関する二つの論文が掲載された。これらは、漁業が海の食物連鎖段階と構造に与える影響についての考察を含んでいる。
“Impacts of fishing on the marine mean trophic level in Chinese marine area” は、Acta Ecologica Sinica に掲載された。