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ビッグデータと漁業管理:人工衛星を利用した漁業活動の追跡

「気候変動によって、海で最も影響を受けるのは、漁業だろう。しかし、地平線の彼方で何が起こっているのかを把握するには限界がある。見えないのだから。しかし、Global Fishing Watchの導入により、どこでどのくらいの漁業が行われているのかを把握することが可能となる。これは、いかに我々の海を管理していくのかという疑問に多くの解決策をもたらすだろう。」と、David Kroodsma(SkyTruth、Global Fishing Watchリサーチプログラムマネージャー)は話す。

北海における海の気候変動アセスメント報告書: 社会・経済的影響 ー 漁業

William Cheung (ネレウスディレクター・科学)とMiranda Jones (ネレウス同窓生)が共同執筆した章「社会・経済的影響ー漁業」が、北海における海の気候変動アセスメントに掲載された。この章では、漁業における生物学的、運用的、経済的懸念について、気候変動の「hot spot」として認定される北海の急速な温度変化に関して、近年の状況や今後の影響について言及した。北海とは、イギリスとノルウェーの間からヨーロッパ本土におよぶ地域であり、世界で最も重要な漁場として名高い。

気候変動による漁業の損失が、2050年までに年間100億ドルに及ぶ可能性

気候変動が現在の速度で進んだ場合、世界の漁業は2050年までに、およそ年間100億ドルの損失を被る可能性がある。それにより、漁業を食料源や生活収入の糧としている国々では、さらなる影響を受けるだろうことを指摘した日本財団ネレウスプログラムの研究論文がScientific Reportsに発表された。

英国のEU離脱(Brexit)は、英国の漁業にどんな影響をもたらすか?政策、科学そして社会が直面する不確実性について

英国が欧州連合(EU)に残留すべきかどうかについての国民投票に至るまでの間に、議論の焦点となったのは、”移民”だった。しかし、水産業も国民の関心事となったことをみなさんはご存知だろうか? 漁師のテムズ川での船上キャンペーンを含め、EU加盟の影響に対するデモ行進や辛辣な議論が、海に関しても引き起こったのだ。 EU離脱には、漁業の将来に多くの不確実性がある。英国が、EUを離脱することによる影響を受けるであろう分野として、政策、科学、そして社会を挙げて解説を試みた。

本日の魚:なぜ水産物の旬は問題なのか

By Wilf Swartz(ネレウスプログラムマネージャー/リサーチアソシエイト)

季節ごとの食べ物を日本語では「旬」と言う。旬とは、ある特定の食べ物が、最も味の良い出盛り期のことである。現代社会では、多くの食べ物に「季節」を感じる事はあるが、残念ながら欧米では魚に季節を感じる事は少ない。「旬」を魚には感じる事が少ないのだ。いろいろな食べ物を旬の時期以外に味合うことができるが、 その食べ物から連想されることは変わらない。 いちごは初夏を、かぼちゃ、特にパンプキンパイや芽キャベツからは、落ち葉の音や七面鳥や感謝祭を連想する。そう、七面鳥には季節性があるのだ。中世には、寒い冬の夜に燃え盛る火の上でシカ肉が代わりに焼かれていたかもしれないが。言い切れないほどまだまだあるが、水産物は違う。ほとんどの水産物がなぜかその対象から外されているのだ。

専門家に聞く:世界の水産補助金(350億ドル)について

Rashid Sumaila (OceanCanada リサーチディレクター)とUBC Global Fisheries Cluster (Sea Around Us とネレウスプログラム) の共同研究「an updated estimate of global fisheries subsidies」が、学術誌Marine Policyに掲載された。この研究は、世界の水産業は年間350億ドルの政府からの補助金により支えられており、この補助金の大部分(年間200億ドル)が、乱獲等に繋がる漁獲能力拡大の助長に充てられている可能性があると指摘している。

専門家に聞く:TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)は水産物の貿易にどんな影響を与えるのか?

10月5日、世界最大の自由貿易圏となる12カ国によるTPPが大筋合意に至った。日本、カナダ、アメリカ合衆国、ブルネイ、チリ、ニュージーランド、シンガポール、メキシコ、ベトナム、オーストラリア、ベルー、マレーシアの協定国を合わせると、世界経済の40%を占める。TPPは、魚介類への関税が排除されることによって、協定国間でこれまで以上に輸出入される可能性が出てきており、新しい環境基準や労働基準の導入が不可欠である。

ウィルフ・スワーツ博士(ネレウスプログラムマネージャー/リサーチアソシエイト)は、日本でのシーフードサプライチェーン管理や水産業の政策、また水産市場について研究している。ここでは、TPPが漁業や水産貿易にどのような影響を与えるかを考察する。

一般市民に知らされない魚の適正価格:魚が海から減っても、魚の値段が上がらない理由

私たちが魚を買う時に、「お、納得のいく値段だ」と感じる“適正価格”を市場が維持するためには、海からスーパーへとつながるサプライチェーン(流通システム)に見えない事情が隠されているのだ。一般消費者が追跡したり、目にすることができないサプライチェーン全体をふまえた上で値札がつけられているという裏があるのだ。そして、それは持続可能な慣行が存在するような錯覚を与えている。