アークティック・フロンティア国際会議
Richard Caddell (ユトレヒト大学ネレウスフェロー)とDaniel Pauly(ブリティッシュコロンビア大学/ネレウス運営委員長)は、1月22日から27日にかけノルウェー、トロムソで開催された アークティック・フロンティア国際会議に出席した。この会議には、学術、政府、ビジネスからの代表が1400人以上集まり、北極圏の持続可能な開発に関する課題について議論した。
Richard Caddell (ユトレヒト大学ネレウスフェロー)とDaniel Pauly(ブリティッシュコロンビア大学/ネレウス運営委員長)は、1月22日から27日にかけノルウェー、トロムソで開催された アークティック・フロンティア国際会議に出席した。この会議には、学術、政府、ビジネスからの代表が1400人以上集まり、北極圏の持続可能な開発に関する課題について議論した。
沿岸に住む先住民の一人当たりの水産消費量が、居住国全体の平均水産消費量の15倍に達するという研究結果が、PLOS ONEに発表された(太田義孝、アンドレス・シスネロス)。これは世界で初めて、先住民漁業をグローバルな規模で定量的に分析した論文であり、日本財団ネレウスプログラムがオリジナルに作成したデータベースをその基盤としている。また、本研究は、漁業政策と社会的人権を一環として捉え、食糧(料)主権と文化アイデンティティが国際海洋政策において重視されるべきであることを提起している。
Explaining Ocean Warming は、国際自然保護連合( IUCN )が海洋生物、生態系、商品やサービスへの温暖化による影響を考察した包括的な報告書である。この報告書は、12カ国、80人の科学者達によってまとめられ、9月1日〜10日にハワイで開催された IUCN世界自然保護会議において発表された。ネレウスプログラムの研究はこの報告書の二章に寄稿された。
Rashid Sumaila (OceanCanada リサーチディレクター)とUBC Global Fisheries Cluster (Sea Around Us とネレウスプログラム) の共同研究「an updated estimate of global fisheries subsidies」が、学術誌Marine Policyに掲載された。この研究は、世界の水産業は年間350億ドルの政府からの補助金により支えられており、この補助金の大部分(年間200億ドル)が、乱獲等に繋がる漁獲能力拡大の助長に充てられている可能性があると指摘している。
世界中における漁獲量の数値を各国が大幅に過小報告しており、その結果、全漁獲量の非常に重要な情報が現在の公的な発表に反映されていない。
太田義孝博士(ネレウスプログラムディレクター/政策担当、UBC)は、2015年10月23日に UBCのLiu Institute for Global Issuesで開催された、セミナー『海は誰のものか?国際公共財(グローバル・コモンズ )である海洋の資本と保全について』で議長を務めた。UNU-IAS(国連大学高騰研究所)とTKI(伝統知識研究所)のシニアフェローであるマリオ・ビエロス博士が発表を行った。このセミナーでは、公海ガバナンスの重要な問題や海洋資源の利益共有について話し合われた。
Mathieu Colléter(ネレウスフェロー/UBC) Audrey Valls(ジュニアリサーチフェロー/UBC/2011−2014)とDaniel Pauly(ネレウスステアリングコミッティ委員長/アドバイザリーパネル)の論文、“Global overview of the applications of the Ecopath with Ecosim modeling approach using the EcoBase models repository” が Ecological Modellingに掲載される。
ダニエル・ポーリー教授(ネレウス運営委員会議長、 諮問委員会委員 )とウィリアム・チュン准教授(ネレウス統括、主任研究員)が共著した論文、“Polar lessons learned: longterm management based on shared threats in Arctic and Antarctic environments” (ダウンロード PDF) がFrontiers in Ecology and the Environment(科学誌)に掲載された。この論文では、気候変動、汚染、過剰漁業、侵入生物種などを含む、北極、南極がさらされている脅威について考察している。「気候変動の要因となる温室効果ガスの排出が減らせるまで、気候変動に関係する汚染や過剰漁業、侵入生物種を含む他の脅威に対処することが大事である。」と論文中で忠告している。
日本財団(The Nippon Foundation – NF)は、ブリティッシュコロンビア大学(University of British Columbia – UBC)と9年間、15億円規模で共同プログラム「NF-UBC ネレウス–未来の海を考える」をしている。このプログラムは、グローバルスケールで魚の資源と海の未来を予測し、その問題解決に寄与することを目的とした世界で唯一の総合的な海洋プログラム である。