Explaining Ocean Warming は、国際自然保護連合( IUCN )が海洋生物、生態系、商品やサービスへの温暖化による影響を考察した包括的な報告書である。この報告書は、12カ国、80人の科学者達によってまとめられ、9月1日〜10日にハワイで開催された IUCN世界自然保護会議において発表された。ネレウスプログラムの研究はこの報告書の二章に寄稿された。
3.11章「Impacts and effects of ocean warming on marine fishes(海洋温暖化による海洋魚への影響と結果)」(p. 239-253) は、 William Cheung(ネレウスプログラムディレクター・科学)とDaniel Paulyによる共同執筆。この章では、海の温暖化による産卵や回遊のに見られる魚の生理的性能や生物学的事象への影響について、またどのように温暖化が魚の分布移動に影響しているかについての概要を述べた。著者は、熱帯の海が、局所絶滅を引き起こす海の温暖化のhotspot(高温の場所)になっており、漁業や汚染のような他のストレス要因により、海洋魚の気候ストレス要因に対する感度(脆弱度)が増しているということを特筆している。
4.5章「食料安全保障のための漁業と養殖業における海洋の温暖化による影響と結果 “Impacts and effects of ocean warming on the contributions of fisheries and aquaculture to food security” (p. 409-437) 」はWilliam CheungとVicky Lam(ブリティッシュコロンビア大学/ネレウス同窓生)による共同執筆。魚分布の移動が異なる国の間で「勝者」と「敗者」をどのように生み出すか、海の温暖化が漁業へどのように影響するかを考察した。この章では、改善された沿岸管理、海洋空間計画、およびシーフードサプライチェーン、持続可能な水産養殖の実践を拡大する必要性などを掲げている。
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