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カナダ連邦政府の舵取りが自国の海を悪化させているとの研究報告

カナダは、これまでは海洋管理の世界的リーダーという立場にいたが、海洋政策を実施する際の連邦政府のリーダーシップの欠如、海洋科学分野への経費削減、政府関係の科学者が公にその研究結果を発表できる権限が限られていることにより、現在では海洋管理に失策した国へと転じてしまった。

これらの結果は、ネレウスプログラム研究員が共著した “a new study in Marine Policy”の一部に示され、ここでは「政府の海洋政策と海洋管理は、過去10年間で実質的な海洋科学の前進から外れてきている。」と述べられている。

Not All Return

カナダには、海に関わる労働者や関係者は30万人以上存在し、水産業は年間260億ドルをも稼ぎ出す。
Image: “Not All Return” by Dennis Jarvis, CC BY-SA 2.0.

「科学者から情報提供された効果的な海洋政策は、とりわけ気候変動下における海洋生物資源の持続可能な管理のために非常に重要である。しかし、絶滅に瀕している海洋種の保護から魚の生息地の保護に至る様々な方面の研究等が、カナダでは推進されていないということがこの調査により分かった。」とウィリアム・チュン博士(ネレウスプログラム統括・科学)は述べる。

19人の海洋科学者が、Oceans Act and the Species at Risk Actのもと、資源管理がなされていないことや魚種の保護が欠如していることが明らかになったレポートを統合した。この著者達は、「価値ある」水産業として役目を果たしている生息域だけを保護するだけのFisheries Act の形骸化にも注目している。これは、違憲で科学的根拠がないと考えられているものである。

この論文では、政府のサポートや資金の減少により、いかに政府の科学者が制限されてきたかを考察している。水産海洋省(Fisheries and Oceans Canada )は、過去10年以上に渡って、11ある図書館のうち7つを閉館し、アーカイブ対象ファイルの三分の一を破棄している。2015年から3年越しで、Fisheries and Oceans Canada から一億ドル削減される計画を含んでいることが懸念される。政府関係の科学者達は、彼らの出した結果を情報交換したり研究を発表したりすることも制限されてきている。彼らは、メディアに自由に伝えることも出来ないだけでなく、著書や共著したすべての雑誌論文や研究レポートは、事業部長(Division Manager)の責任のもと “concerns/impacts to DFO policy(水産海洋省政策への懸念/影響)” や “relevance to DFO outcomes(水産海洋省の成果と関連)”として承認されなければならない。この論文では、過去9年間で、政府の科学プレスリリースが58%下落していることを明らかにした。

「課題の多い現状に関わらず、カナダにはアカデミック、政府、非政府組織にすばらしい科学者達が存在する。科学はそこに存在するのだから、私たちはただ耳を傾ける必要があるのだ。科学研究資金の透明性や、今必要とされる政策や将来の政策両方の構築と施行によって、私たちはカナダの海洋や産業が直面している環境や経済の課題に対処し取り掛かることができる。」と アンドレアス・シスネロス・モンテマイヤー(ネレウスプログラム/ブリティッシュコロンビア大学OceanCanadaポストドクトラルフェロー)は話す。

「科学的発展の応用なしに、世界はどこへ行き着いてしまうのか考えて欲しい。」とラシッド・スマイラ(ブリティッシュコロンビア大学教授/OceanCanada Partnershipリサーチディレクター)は話す。

結論として、著者達は、本論文で指摘されている課題は、カナダの海洋政策と海洋科学のための最重要課題として政府が早急に対応すべき問題だと主張している。

This study is partly supported by OceanCanada, a project funded by the Social Science and Humanities Research Council of Canada.

For further information or interview requests, please contact:
Lindsay Lafreniere
Communications Officer, Nereus Program
Institute for the Oceans and Fisheries
The University of British Columbia
[email protected]

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