Languages

fisheries

北大西洋における季節的な植物プランクトンの増殖は、カイアシ類の越冬方法に関係していた

Rebecca Asch (ネレウスフェロー/プリンストン大学)が共著した論文“Seasonal phytoplankton blooms in the North Atlantic linked to the overwintering strategies of copepods,” が、 Elementa: Science of the Anthropoceneに掲載された。この論文では、北大西洋での植物プランクトンの増殖がいつ、どのくらいの期間で起こるのかを観察した。著者達は、スプリングブルーム(春季大繁殖)開始日と増殖期間について、早期に増殖した場合は繁殖が長期に渡るという相関性を発見した。

本日の魚:なぜ水産物の旬は問題なのか

By Wilf Swartz(ネレウスプログラムマネージャー/リサーチアソシエイト)

季節ごとの食べ物を日本語では「旬」と言う。旬とは、ある特定の食べ物が、最も味の良い出盛り期のことである。現代社会では、多くの食べ物に「季節」を感じる事はあるが、残念ながら欧米では魚に季節を感じる事は少ない。「旬」を魚には感じる事が少ないのだ。いろいろな食べ物を旬の時期以外に味合うことができるが、 その食べ物から連想されることは変わらない。 いちごは初夏を、かぼちゃ、特にパンプキンパイや芽キャベツからは、落ち葉の音や七面鳥や感謝祭を連想する。そう、七面鳥には季節性があるのだ。中世には、寒い冬の夜に燃え盛る火の上でシカ肉が代わりに焼かれていたかもしれないが。言い切れないほどまだまだあるが、水産物は違う。ほとんどの水産物がなぜかその対象から外されているのだ。

気候変動による海洋漁業、養殖、沿岸域の観光業、人間の健康への影響について:最新レビュー論文

2013-2014年に発表された気候変動に関する政府間パネル(IPCC) の第5次評価報告書では、気候変動と海の酸性化に対する海洋システムの脆弱性、影響、順応を強調していた。この研究分野は常に進展が見られ、この報告書が公表された後、“Observed and projected impacts of climate change on marine fisheries, aquaculture, coastal tourism, and human health: an update” が最新レビュー論文としてこのほど発表された。

気候変動の下で温度を基準として対象を絞った複数種の漁業について

Daniel Dunn(デューク大学/ネレウスフェロー)と Patrick Halpin(デューク大学/研究責任者)による論文“Temperature-based targeting in a multispecies fishery under climate change” が、最近Fisheries Oceanographyに掲載された。この研究では、アメリカ北東部での春と秋の海底の温度が、ツノザメ、シルバーヘイク、ガンギエイのようなニシマダラと互いに影響し合う他種魚と比べ、ニシマダラの分布に影響しているかどうかを考察した。研究した種の38%〜54%が春にはタラと離れるのだが、秋に離れるのはたったの17%であることがわかった。

大西洋マグロおよび高度回遊魚に関する会議

ネレウス同窓生(デューク大学)であるオンドレ・ブスタニー博士は、3月に開催された大西洋マグロ類保存委員会アメリカセクションのアドバイザリー会議(ICCAT Advisory Committee Meeting)、また大西洋高度回遊魚漁業管理アドバイザリー会議 (Highly Migratory Species Advisory Panel Meeting) に出席した。

専門家に聞く:世界の水産補助金(350億ドル)について

Rashid Sumaila (OceanCanada リサーチディレクター)とUBC Global Fisheries Cluster (Sea Around Us とネレウスプログラム) の共同研究「an updated estimate of global fisheries subsidies」が、学術誌Marine Policyに掲載された。この研究は、世界の水産業は年間350億ドルの政府からの補助金により支えられており、この補助金の大部分(年間200億ドル)が、乱獲等に繋がる漁獲能力拡大の助長に充てられている可能性があると指摘している。

食卓に並ぶクラゲ〜クラゲ漁はクラゲ大量発生への解決策となるか〜

柔らかくゼラチン質の体を持つクラゲは、一見無害の生物のように思われるかもしれないが、クラゲの大量発生は、人間の活動に有害な影響が引き起こすされる可能性がある。発電装置が目詰まりを起こしたり、養殖場の魚が大量死したり、魚網が破れたり、10トン漁船さえも沈めてしまったりする、様々な被害がすでに世界各地で起こっているのだ。そして、最近では、クラゲが、気候変動、または乱獲や富栄養化、沿岸開発のような人間活動により大量発生が引き起こされているとの分析が発表されている。

アメリカ北西大西洋におけるマグロやカジキの理想の漁業条件を調査

Andre Boustany(デューク大学/ネレウス同窓生)とPatrick Halpin (デューク大学/研究責任者)による研究 “Tuna and swordfish catch in the U.S. northwest Atlantic longline fishery in relation to mesoscale eddies”が、Fisheries Oceanographyに掲載された。この研究では、海流の種類の一つである中規模渦、海面温度、漁に使用された道具など、異なる条件下での影響を考察した。

世界の海のクロマグロの現状と未来-Bluefin Futures Symposium

1月18日から20日にかけての3日間、世界の海に生息する3種のクロマグロの保護と管理に関して第一線で活躍する専門家たちが、カリフォルニア州モントレーに100人以上集まり、Bluefin Futures Symposiumに参加した。科学、政策の分野、また企業からの研究者、そして保全リーダーたちが初めて国際的に集結し、現在の資源状況、研究の成果、管理体制の曖昧さというような、これら海の捕食者を漁獲するために、未来の持続可能性を保証する鍵を握るテーマについて議論した。