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世界の海のクロマグロの現状と未来-Bluefin Futures Symposium

by Guillermo Ortuño Crespo (ギエルモ オトゥーロ クレスポ)

1月18日から20日にかけての3日間、世界の海に生息する3種のクロマグロの保護と管理に関して第一線で活躍する専門家たちが、カリフォルニア州モントレーに100人以上集まり、Bluefin Futures Symposiumに参加した。科学、政策の分野、また企業からの研究者、そして保全リーダーたちが初めて国際的に集結し、現在の資源状況、研究の成果、管理体制の曖昧さというような、これら海の捕食者を漁獲するために、未来の持続可能性を保証する鍵を握るテーマについて議論した。

3日間に渡ったシンポジウムは、11セッションに分けられた。1日目は、クロマグロに関する最近の研究について。2日目は、科学に基づくクロマグロの管理について。3日目は、クロマグロの持続可能性のための機会と課題について。

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Bluefin Futures Symposiumでは、管理者、科学者、NGO代表者が一同に会し、未来のクロマグロの持続可能性のために、問題について討論するだけでなく実行可能な解決法が話し合われた。 Image: “Bluefin tuna” by Aziz SALTIK, CC BY-NC-ND 2.0.

ネレウスプログラムからは、Dr. Yoshitaka Ota (ネレウスディレクター/政策担当)、Dr. Wilf Swartz (ネレウスプログラムマネージャー/研究員)Andre Boustany(デューク大学、ネレウス同窓生)、Guillermo Ortuño Crespo(デューク大学、博士課程/ネレウスフェロー)の4人が参加した。

シンポジウムでは、ネレウスプログラムを広める機会があった。3日間のイベントの最初のセッションである‘Migration patterns and population structure of Atlantic bluefin tuna (Thunnus thynnus)’について、Dr. Boustany が概要を発表することから始まり、魚種ごとの空間的移動について広い海域を対象とした議論ができるように基盤となる知見の共有をはかった。※

※参加者には、EU海洋漁業担当大臣のMaria Damanaki 、マリア ダマナキ氏(前 European Union Commissioner for Maritime Affairs and Fisheries and Global Managing Director for Oceans, The Nature Conservancy)も含まれており、このイベントは、Dr. Ota にとってMaria Damanaki とネレウスレポートの感想を語り合う絶好の機会となった。“Predicting Future Oceans: Climate Change, Oceans & Fisheries”という、ネレウスレポートについて、ダマナキ氏はツイッターでシェアしている。

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シンポジウムを通して、水産経済学をさらに組み入れること、クロマグロの管理プロセスにNGO団体を含むことの必要性に関して複数の見解が言及された。※

※いくつかのセッションで、学際的研究に関わる質問が中心部を占め、ネレウスの研究(Dr. Swartz、 Dr. Lisa Dellmuth が行う)が管理プロセスで重要な役割を担っていることが認識された。

シンポジウムの7番目のセッションは、Working toward sustainable bluefin tuna fisheries: RMFO solutions’であった。マグロ類地域漁業管理機関 (RFMOs)にさらに信頼を置き、包括的で民主的に行う、非常に前向きで達成可能な提案がされた。クロマグロの違法・無報告・無規制漁業 (IUU漁業)に対する市場を基準とした解決法が議論され、さらに追跡可能なメカニズムと漁獲の文書化を用いることとした。Stefaan Depypere(Director of International Affairs and Markets, European Commission Directorate General for Maritime Affairs and Fisheries)は、「違法に捕られた魚の市場価値を取り上げろ。文書がなければ、無価値とする。(take away market value of illegal fish, no documentation, no value)」と述べた。The International Commission for the Conservation of Atlantic Tunas (ICCAT)は、Bluefin Tuna Catch Documentation Schemeを実施し、最近大西洋クロマグロのトレーサビリティを大きく改善した。他のRFMOsはそれに続くべきであろう。

Boustany opened the first session of the three-day event with a synopsis of our knowledge on ‘Migration patterns and population structure of Atlantic bluefin tuna (Thunnus thynnus)

Andre Boustany(デューク大学/ネレウス同窓生)が、Bluefin Futures Symposiumにてネレウスの研究 ‘Migration patterns and population structure of Atlantic bluefin tuna (Thunnus thynnus)’を発表した。

参加者一同は、科学的なデータ分析の段階と意思決定の段階に、クロマグロを漁獲する発展途上国を含めることによって、データ収集のプロセスに参加している以上に発展途上国の参加を促すべきであるということに同意した。パネリストたちの話し合いでは、マグロRFMOの意思決定では、データ収集が、常にコンプライアンスや透明性のある中で成されるわけでなく、未だ非常に政治的に扱われるプロセスであるということも意見が一致した。データ集積の責任とコンプライアンスの公正を確保するためには、先進国と開発途上国すべてのマグロ漁業国を含むことが不可欠であり、道標となるであろう。これにより、管理プロセスに与えられる情報が改善するだけでなく、マグロ RFMOs により、同盟国間に信憑性と信頼を生み出すのだ。
このセッションは、経営者、科学者、NGO代表者たちが、問題について議論するだけではなく、実行可能な解決法を議論するという今回のシンポジウムの積極的な姿勢の表れであった。

クロマグロ管理の意思決定において、未だ明らかに政治的な意図が絡んでいる。新たな課題として、必然的に科学と政策の境界に立ち、適切な管理体制下で、気候変動のような問題から派生する複雑な問題をとりあつかえる研究者が必要となるだろう。ネレウスプログラムは、この多分野に渡る研究を推し進め、その任務を遂行するために、必要とされる専門分野に携わるフェローたちがそれぞれの研究に専念し、今立ちはだかっている海洋保全への課題に最前線で立ち向かっている


Guillermo Ortuño Crespo

ギエルモ オトゥーロ クレスポ(デューク大学/ECOSYSTEM-BASED MANAGEMENT OF MARINE SYSTEMS)

ギエルモは、デューク大学Marine Geospatial Ecology Labの博士課程に在学。セントアンドリュー大学でEcosystem-based Management of Marine Systemsの学士課程を終了した。彼の研究では、クロマグロの保全と管理、また遺伝子ツールを利用した漁業管理に焦点を当てる。空間生態学、移動性の高い回遊魚種の保全に注目し、特に国家の管轄領域を超えた地域での管理についての根本的な疑問提起をしている。

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