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水産物認証とエコラベルの多様性と包括性:アジアの展望

アジアは、水産物の生産と消費ともに盛んである。世界の漁師や養殖業者の84%がアジアにおり、世界の漁獲、漁業製品の70%以上がここで消費されている。アジア内での認証水産物の需要は、ヨーロッパや北米のような他の地域よりも遅れている。ここでは、不均等に開発された認証スキームを示唆しているが、アジアで認知さえれば大きな可能性を持つものである。

ネレウス今週のニュースー12月9日

沿岸域先住民が同国の非先住民と比べて、一人当たり15倍以上の水産物を消費している、というネレウスプログラムの研究がPLOS ONEに掲載された。

また、この研究は “Indigenous peoples of the world’s coastlines are losing their fisheries — and their way of life“という記事で、ワシントンポストに掲載された。

沿岸域先住民による水産物消費に関するグローバルな傾向

先住民は、従来定量的研究に抵抗を示しており、特に先住民族のコミュニティに損害を与える差別的な社会経済的および政治的政策を課する定量的研究について強い嫌悪を感じている。しかし、世界中の沿岸域先住民による魚の消費量を具体的に定量化する世界のデータベースにアクセスを持つことで、多面で先住民族の闘争に重要な貢献をもたらすが考えられる。何より、食料としての魚の消費に関する情報の構築により、先住民族の食糧主権の重要な問題を示すことが可能となる。

世界の先住民漁業の重要性:先住民一人当たりの水産消費量は居住国の平均水産消費量の15倍に達する

沿岸に住む先住民の一人当たりの水産消費量が、居住国全体の平均水産消費量の15倍に達するという研究結果が、PLOS ONEに発表された(太田義孝、アンドレス・シスネロス)。これは世界で初めて、先住民漁業をグローバルな規模で定量的に分析した論文であり、日本財団ネレウスプログラムがオリジナルに作成したデータベースをその基盤としている。また、本研究は、漁業政策と社会的人権を一環として捉え、食糧(料)主権と文化アイデンティティが国際海洋政策において重視されるべきであることを提起している。

INFORMATION SHEET: 奴隷漁業と日本の水産消費

タイ、ミャンマー、カンボジア、インドネシアの男性達は、タイやその他外国籍の漁船で強制労働を強いられている。彼らの中には、数年もの間船上に留まらされ、賃金はかなり少額で、その上支払いは不定期、休みなく1日18時間から20時間もの労働を強いられている者もいる。また、脅迫され、身体的虐待を受け、長時間労働をするために薬漬けにされ、さらには病気になったり、逃走、反抗しようものなら殺されてしまうという実態が報告されている。(2016年米国務省人身売買報告書より)

持続可能な水産養殖のための重要な5つの側面とは:養殖は世界の食料安全保障の一助となるか?特にアフリカではどうか?

水生種の養殖が、世界の食糧安全保障の課題を解決する重要な側面を担い始めている。漁業による水産物の供給は減ってきている。私たちが漁業による圧迫を減らすことこそが、魚資源を増やすことにつながる。しかし依然として、政府は、さらに魚が獲れるように水産業に助成金を支給し続けている。したがって、私たちの新たな方策として期待されるのが養殖である。我々は、動物性タンパク質の生産法を狩猟から畜産に変化させた。同様に、海では漁から養殖に変更する必要があるのではないか?これが私の議論である。養殖は、世界の人口増加に対応すべく、水産物供給をさらに促すための最良の選択肢なのだろうか。 養殖は、 8.8%ほどの平均増加率で、世界で最も成長している農漁業食品分野であることが明らかである。しかし、生態系への強い依存、設備からの環境への影響、あいまいな「養殖の持続可能性」の定義などから、養殖産業には悪いイメージがつきまとっている。

英国のEU離脱(Brexit)は、英国の漁業にどんな影響をもたらすか?政策、科学そして社会が直面する不確実性について

英国が欧州連合(EU)に残留すべきかどうかについての国民投票に至るまでの間に、議論の焦点となったのは、”移民”だった。しかし、水産業も国民の関心事となったことをみなさんはご存知だろうか? 漁師のテムズ川での船上キャンペーンを含め、EU加盟の影響に対するデモ行進や辛辣な議論が、海に関しても引き起こったのだ。 EU離脱には、漁業の将来に多くの不確実性がある。英国が、EUを離脱することによる影響を受けるであろう分野として、政策、科学、そして社会を挙げて解説を試みた。

本日の魚:なぜ水産物の旬は問題なのか

By Wilf Swartz(ネレウスプログラムマネージャー/リサーチアソシエイト)

季節ごとの食べ物を日本語では「旬」と言う。旬とは、ある特定の食べ物が、最も味の良い出盛り期のことである。現代社会では、多くの食べ物に「季節」を感じる事はあるが、残念ながら欧米では魚に季節を感じる事は少ない。「旬」を魚には感じる事が少ないのだ。いろいろな食べ物を旬の時期以外に味合うことができるが、 その食べ物から連想されることは変わらない。 いちごは初夏を、かぼちゃ、特にパンプキンパイや芽キャベツからは、落ち葉の音や七面鳥や感謝祭を連想する。そう、七面鳥には季節性があるのだ。中世には、寒い冬の夜に燃え盛る火の上でシカ肉が代わりに焼かれていたかもしれないが。言い切れないほどまだまだあるが、水産物は違う。ほとんどの水産物がなぜかその対象から外されているのだ。

専門家に聞く:世界の水産補助金(350億ドル)について

Rashid Sumaila (OceanCanada リサーチディレクター)とUBC Global Fisheries Cluster (Sea Around Us とネレウスプログラム) の共同研究「an updated estimate of global fisheries subsidies」が、学術誌Marine Policyに掲載された。この研究は、世界の水産業は年間350億ドルの政府からの補助金により支えられており、この補助金の大部分(年間200億ドル)が、乱獲等に繋がる漁獲能力拡大の助長に充てられている可能性があると指摘している。

専門家に聞く:TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)は水産物の貿易にどんな影響を与えるのか?

10月5日、世界最大の自由貿易圏となる12カ国によるTPPが大筋合意に至った。日本、カナダ、アメリカ合衆国、ブルネイ、チリ、ニュージーランド、シンガポール、メキシコ、ベトナム、オーストラリア、ベルー、マレーシアの協定国を合わせると、世界経済の40%を占める。TPPは、魚介類への関税が排除されることによって、協定国間でこれまで以上に輸出入される可能性が出てきており、新しい環境基準や労働基準の導入が不可欠である。

ウィルフ・スワーツ博士(ネレウスプログラムマネージャー/リサーチアソシエイト)は、日本でのシーフードサプライチェーン管理や水産業の政策、また水産市場について研究している。ここでは、TPPが漁業や水産貿易にどのような影響を与えるかを考察する。