Louise Teh(ブリティッシュコロンビア大学 Fisheries Economics Research Unit/リサーチアソシエイト)、William Cheung(ネレウスディレクター・科学)、Rashid Sumaila(OceanCanadaディレクター/ネレウスリサーチアソシエイト(名誉学位))が執筆した論文 “Scenarios for investigating the future of Canada’s oceans and marine fisheries under environmental and socioeconomic change“が、Regional Environmental Changeに掲載され、カナダでの海洋保全や漁業セクターでの既存のシナリオ分析方法(複数の潜在的な結果に基づいて将来の対応を準備する方法)を見直した。本論文は、「将来の海の可能性に関する統合された社会生態学的視点を提供する」ために、既存の文献にあるこれらのシナリオ分析が生物物理学、社会経済学および政策の関連要因を十分に考慮しているかどうかを判断することを目的としている。
要約:
カナダは、その海の持続可能性のために効果的な戦略を展開する必要がある。しかし、この課題は、海洋生態系における世界の環境や社会経済の変化、そして沿岸域社会がこれらの変化にどのように対応するかという将来の見通しが不確実であるため、難しい課題である。シナリオ分析は、気候変動、経済開発、社会や政策変更などの異なる経路の下で、カナダの海における別の未来を探索し、この不明瞭さに対処することができる。しかし、カナダの未来の海の持続可能性を全国規模でシナリオ分析されてこなかった。このプロセスを容易にするために、私たちは、カナダの漁業や海洋生態系のシナリオに関する既存の文献が、将来の潜在的条件について、統合的で社会的な生態学的見地を提供しているかどうかを検討する。全般的に見れば、カナダにおける将来の海洋および社会経済動向の予測を生み出すのに十分な全国レベルの海洋データと生態系、生物物理学的、また社会経済的モデルの応用が存在する。しかし、カナダでの海洋関係のシナリオ分析の大半が、気候や関連する海洋学および生態学的変化シナリオに焦点を置いていることがわかった。シナリオに、社会、経済、ガバナンスの要因を取り組みに格差があり、将来の変化の経済的および社会的影響を考慮するシナリオが欠如している。さらに、利用可能な海洋シナリオ研究のほとんどが、カナダのすべての海3つを同時に取り扱っていない。これらの格差に対処するために、社会経済経路を共有しその概念に沿った マトリクスのフレームワークを使用した国レベルでのシナリオを開発することを提案した。これは、将来の不確実性に関して、カナダの海の社会生態学的調査を可能にするだろう。