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違法漁業撲滅のためにブロックチェーンが果たす役割

This article was originally posted in The Conversation.

By Quentin Hanich, Nereus Program Principal Investigator, University of Wollongong.

世界漁業の発展を視野に、太平洋諸島のマグロ産業における違法漁業や持続不可能な漁業を阻止するマグロのトレーサビリティを強化する必要があり、そのために現在ブロックチェーンが使用されている。

アメリカに拠点を置くテックイノベーターConsenSys、技術開発者TraSeable、マグロ業および製造業社Sea Quest Fiji Ltdと提携し、オーストラリア、フィジー、ニュージーランドの世界自然保護基金(WWF)は、太平洋諸島のマグロ産業においてパイロットプロジェクトを立ち上げた。そして、”bait to plate”マグロを追跡するためのブロックチェーンを使用する予定である。

マグロ産業での違法・無報告・無規制漁業や人権侵害の防止に役立てることを目的としている。また、マグロ漁業船の収賄、違法漁業の追跡、奴隷制度の報告もしている。

ブロックチェーンの使用により、透明性を強化し、完全なるトレーサビリティが可能になることが期待されている。それによって、ライセンス収入、乗組員の労働条件と安全性への大きな脅威、環境へのさらなる影響に対抗できる。

ブロックチェーンはビットコインを超えて進化する
ブロックチェーンは、ビットコインを超えて急速に進化している。新しいアプリケーションは、あらゆる種類の製品のサプライチェーンの透明性を含む様々な方法でビジネスを改善するように設計されている。

ブロックチェーンは、分散型の検証が可能で不可逆なデジタル台帳である。価値あるほとんどの物の取引を記録するのに使用できる。

それはネットワーク内のすべての人々が閲覧し、更新することができる共有(コピーできない)データベースである。このシステムは、高度な透明性を可能とし、サプライチェーンに多くのメリットをもたらす。それは、ネットワーク内のすべての人々が台帳を見て確認でき、個人が取引履歴を変更したり消去することができないからである。

消費者は、購入したい商品のコードをスキャンして、手元に届くまでの過程を正確に把握することができる。魚のようなアが持続可能なのか、倫理的なのか、法的なのかなどの微妙な問題に答えるのが簡単になるだろう。

マグロが漁獲された際に再利用可能なタグが付けられ、自動的にブロックチェーンに情報が更新される。 WWF

マグロ追跡のためのブロックチェーン利用
WWFパイロットプロジェクトは、無線IDタグ(RFID) 、QRコードタグ、スキャニング装置を組み合わせて、サプライチェーンに沿った様々な時点でのマグロの移動に関する情報を収集する。この技術の利用はサプライチェーンの追跡としては新しくはないが、興味深いのは、収集した情報がブロックチェーン技術を利用して記録されることである。

マグロが漁獲されると同時に追跡が始まる。水揚げされた魚に、漁船上で再利用可能なRFIDタグが付けられる。船舶港、処理工場に装備された装置はタグを検知し、自動的にブロックチェーンに情報が更新される。

いったんその魚が処理されると、再生利用なRFIDタグからより安価なQRコードタグにかわり、製品のパッケージにつけられる。QRコードは、特定の魚および元のRFIDタグに関連するブロックチェーン記録にリンクされる。QRコードタグは、消費者に届くまで魚の移動を追跡するのに使用される。

現時点では、このプロジェクトは全面的に輸出に焦点をおいているので、タグをつなげることは難しいことではない。つまり、新鮮な魚全体から魚の頭、えら、腸を取り除いたものである。魚がロイン、ステーキ、角切り、缶詰用に切り分けられると、それは少し複雑になるのだが、製造された魚のパッケージについたQRコードタグをブロックチェーンにある元の魚の記録に繋げることができるわけだ。

プロセス全体を通してRFIDタグを使用することが可能な一方で、これらのタグの費用面が原因で、漁業の小規模事業者が計画に参加できない可能性がある。将来、消費者に届くまでの魚の移動を追跡するためにNFC装置を使用する可能性もある。

海洋管理協議会に認証されたキハダマグロは、フィジー、スバのワル湾にある SeaQuesの処理工場で処理された。 WWF

産業に必要な透明性をもたらす
太平洋諸島地域でブロックチェーンを利用するのは初めてのことであるが、世界初というわけではない。 Provenenceという会社とInternational Pole and Line Association (IPLA) は、すでにインドネシアのマグロ漁業からイギリスの消費者に届くまで製品を追跡するプロジェクトを成功させている。

Provenanceは、ブロックチェーンを使用して、綿、ファッション、コーヒー、オーガニック食品など、様々なものを追跡している。しかし、ブロックチェーンの可能性はさらに広がるだろう。例えば、Kodakは写真家がデジタル知的財産権を追跡し保護するために、独自の暗号化を開始した。

ブロックチェーンは、ビジネスの形を変え始めている。サプライチェーンの透明性という約束を果たせたら、マグロ産業を含む産業が正しいことを確実に行うための素晴らしいツールとなるだろう。

これにより消費者は、購買意思決定の基礎となる情報をより多く得ることができます。歴史的に違法で環境に不明瞭な漁業慣行に苦しんできた世界のマグロ産業において、先見性のある漁業会社は真の責務を果たし、この産業に完全な透明性をもたらす転換点となる可能性がある。

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