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繁殖戦略とロックフィッシュ:漁業管理のための生活史の特質のフレームワーク

By Colleen Petrik, Nereus Program Fellow at Princeton University

水族館や水産市場へ訪れると、信じられないほどの種類の魚がいることがわかる。これらの魚は見た目だけでなく生活史の特質が異なる。生活史には、最大魚体サイズ、寿命、成熟年齢、産卵(卵の数)が含まれる。同じ系統発生、進化の歴史を持つ魚は類似の特質を共有する。逆に、無関係の魚は、時折、同様の特質を独自に進化させる。

生産力が高く妊娠期間が短いロックフィッシュは、E-P-Oフレームワークの中で異常値のように思われる。Image: “Rockfish” by randychiu, CC BY 2.0.

漁業管理のためのE-P-Oフレームワーク

特定の生活史の特質は環境により形作られる。生活史の特質は、最終的に人口動態を決定するので、WinemillerとRose によって1992年に構築されたE-P-Oフレームワークは、異なる型の障害に対する群集の反応を予測するため、そして漁業管理指針のためのツールとして使用される。

WinemillerとRoseは、組織しているフレームワーク魚類の生活史の特質パターンを評価した。このフレームワークは、 Equilibrium(平衡)、 Periodic(周期性)、Opportunistic(適時的)のニッチなスキーム、相関した生活史特性(図1)の3つのエンドポイント戦略で構成される。Equilibrium s(平衡)種は、アブラツノザメやテングカスベを含む商業魚種のように、中間から長期世代時間、低い生産力等によって分類される。 Periodic (周期性)種は、大西洋タラ、オヒョウ、マグロのような魚種、長い世代、高い生産性により表示されている。 Opportunistic (適時的)戦略は、イワシ、アンチョビ、サバのような、短い世代時間、低い産卵数を特徴とする魚から成る。これらのエンドポイントは、生物学的制約(トレードオフ)、基にする三辺連続体(図2)で、異なる魚種は理論的にはこの空間のどこにでも置くことができる。

図1典型的種を持つWinemillerと Rose の生活史エインドポイント戦略。周期性:コダラ、適時的:カラフトシシャモ、平衡、ガンギエイ

WinemillerとRoseの解析は、北アメリカ淡水魚と海水魚かならなる。彼らは、海洋種はPeriodic endpoint(周期性エンドポイント)に向かうと特筆している。この場合、特性の小さな違いが集団動態を理解するために使用される可能性は低いと思われる。WinemillerとRoseの解析は、商業的に収穫された魚資源の海洋種を含むために世界的に拡大された(Secor 1995, Petrikなどによる未発表データ)。それら’の結果は、単独で調べると、海洋魚種も三角グラフの中に入るが、空間全体を埋めるのではないことを示している。

図2.WinemillerとRoseの生活史エンドポイント戦略(1992)

ロックフィッシュと準周期的平衡グループ

私の現在の非公開研究の分析は、Periodic(周期的)戦略とEquilibrium(均衡)戦略(図3)の間に位置する4つ目の戦略の出現につながった。この型は、成熟年齢が遅く、普通から高いレベルの親の投資と繁殖力、Equilibrium (平衡)種と区別して高い生産性を持つことに特徴づけられる。このカテゴリーは、多くのロックフィシュやオレンジラフィーのような他の深海魚種資源を含む。 Winemille、Rose とSecorもこの中間グループについて述べているが、それを独自戦略としては考慮していなかった。

この Quasi-Psriodic-Equilibrium(Quasi-P-E) グループは、 生活史の観点から見ると非常に興味深い。なぜかを解明する生活史トレードオフの一例がここにある。それぞれ雌の魚は、生殖のためのエネルギー量が有限である。このエネルギーの全てが、新しい魚のバイオマスを作り出すために使用されたら、極端な場合、1つの巨大な卵または数十億の小さな卵を作るために使用される可能性がある。大きめの魚は、大きめの卵から羽化し、生存上優位である。より大きな口は、より多くの種類の獲物がそれに収まることを意味し、体が捕食者の口にあまり合わないことを意味する。あるいは、巣作り(サケ)、それぞれの卵の周囲に殻を形成する(ガンギエイ、エイ)、胎盤を使って子孫を体内に発達させる(サメ)、といった物理的防護のような他の生存優位性タイプに雌の生殖エネルギーが使用されるかもしれない。これらのエネルギーの制約から、魚の生殖投資は、多くの子孫への低い投資から少数の子孫への高い投資のスペクトルとして考えられる傾向がある。

図3.Petrik の解析(未発表データ)。色は、商業漁業種の資源カテゴリーを生活史エンドポイント戦略の1つを表す。楕円形は、形質の三角グラフの中で、各群の異なる魚資源によって満たされた空間を表す。Quasi-Periodic-Equilibrium (Quasi-P-E) カテゴリーは、主にロックフィッシュで構成された興味深いグループであり、黒いバンドのロックフィッシュで描かれている。

なぜたくさん産卵するのか?

Quasi-P-Eグループは、多くの子孫に中くらいから高い投資をしている異常値として現れる。両方のグループに胚の発達にエネルギーを供給し、呼吸ガスを交換し、老廃物を除去しなければならない胎生魚が含まれているにも関わらず、メバル科のロックフィッシュは、非常に繁栄しているが、ロックフィッシュはサメのグループほど親の投資は高くない。サメの卵は、妊娠期間中にプラセンタのような特別な構造によって母親からすべてのエネルギーを受け取る。一方で、Quasi-P-E群の魚は、特殊な構造ではなく、卵黄から、または卵黄流体から栄養素を直接吸収して、すべてのエネルギーを卵黄または母から得る内卵を有する(Boehlert & Yoklavich 1984, Wourms 1991, MacFarlane & Bowers 1995)。母親からの給餌が低いことに加え、ロックフィッシュの妊娠期間は1~2ヶ月であり、サメ、エイ、スケートの期間の4ヶ月から2年に比べてはるかに短い。これらの格差は、エネルギー投資の大きな違いの合計になるが、

体内に卵を抱えている時、Quasi-P-E群は、Periodic魚とは異なる。Quasi-P-E 子孫の誕生時のサイズは、新しく孵化したPeriodic子孫の誕生時のサイズと似ているが、より発達した目、顎、腸、そしてすぐに餌を食べられるようにヒレを持っている。 (Boehlert & Yoklavich 1984Wourms 1991の研究より)このようにして、Quasi-P-E子孫は、仔魚が卵黄の吸収からプランクトンの餌食に切り替わる時、飢えがちな第一給餌段階を回避する。そして、体内に卵を抱えることで、捕食されやすい浮遊卵の段階を回避する。遅れて成熟するEquilibrium(均衡)戦略のように、Quasi-P-E 魚は、子孫が生存して後期生殖成熟に達する確率を高めるための親による保護に投資する。

親の投資は、サメ、スケート、レイより低いが、Quasi-P-E 戦略は、生産力が高いので生活史のトレードオフと反目するように思われる。Periodic魚の産卵数の多さは、ベット・ヘジング戦略としてよく参照される。Periodic のメスは、ほとんど世話をしないが、多くの卵を生むことで、生存につながる状態の可能性を高める。 Quasi-P-E 魚の子孫が、Periodic魚と比較して生存に優位性があるとしたら、なぜたくさん産卵するのだろう。まばらな分布を持つ複雑な生活環境(すなわち、岩石、サンゴ礁、昆布、海の山など; Love et al2002より)を生息地とするため、この生活史グループでのロックフィッシュや他の深海魚は、ベット・ヘジングにからも利益を得ている。これらのまばらな生息地は、多くの漂泳性の仔魚がそこに定着するための繁殖体を広く散布するか(Cowen et al. 2000, 2006より)、ランダムな海域の中で仔魚を保つこと(Parrish et al. 1981, Longhurst 2002より)を必要とする。

この珍しいQuasi-P-E 戦略の結果として、 Equilibrium魚や Periodic魚と比べて、熾烈な漁業のような障害に対してしてより敏感である可能性がある。熾烈な漁業によりかなり成魚人口が減っている。Quasi-P-E 群の成熟期が遅いため、その人口を立て直すのに時間がかかる。これは成熟し、成魚とし理想的な底生息地で生活するまで、最初の理想的な遠洋性海洋条件に直面したQuasi-P-E子孫が生存するのが稀であることで悪化する。北東太平洋のロックフィッシュ資源の多くが1970年代に過度に搾取された(Francis 1986より)。幸い、米太平洋漁業管理協議会がこれらの魚の脆弱性に気づいており、管理戦略の中にその生活史を含めている。そして、95%の人口が再び健全な状態へとなった。米太平洋漁業管理協議会は、100種類の異なる魚種を対象としているが、全てのデータを持っているわけではない。生活史のアプローチを使用することで、データが豊富な種からの情報を使用し、データのない種に適用することができた。これは、なぜ生活史の特性が重要なのか、どうやってE-P-O フレームワークが漁業管理を導くのに使用されるのかの一つの例である。

この珍しいQuasi-P-E 戦略の結果として、 Equilibrium魚や Periodic魚と比べて、熾烈な漁業のような障害に対してしてより敏感である可能性がある。熾烈な漁業によりかなり成魚人口が減っている。Quasi-P-E 群の成熟期が遅いため、その人口を立て直すのに時間がかかる。これは成熟し、成魚とし理想的な底生息地で生活するまで、最初の理想的な遠洋性海洋条件に直面したQuasi-P-E子孫が生存するのが稀であることで悪化する。北東太平洋のロックフィッシュ資源の多くが1970年代に過度に搾取された(Francis 1986より)。幸い、米太平洋漁業管理協議会がこれらの魚の脆弱性に気づいており、管理戦略の中にその生活史を含めている。そして、95%の人口が再び健全な状態へとなった。米太平洋漁業管理協議会は、100種類の異なる魚種を対象としているが、全てのデータを持っているわけではない。生活史のアプローチを使用することで、データが豊富な種からの情報を使用し、データのない種に適用することができた。これは、なぜ生活史の特性が重要なのか、どうやってE-P-O フレームワークが漁業管理を導くのに使用されるのかの一つの例である。

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