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新規漁業の規制について:新たな魚資源に対する規制

By Richard Caddell, Nereus Program Fellow at Utrecht University

水産物の世界的需要に対応するために、現在の漁業を大きく変える必要があることが顕著となっている。気候変動やそれに関する変化が、漁業資源の分布に重大な影響を及ぼすと予測されていながら、多くの漁師たちが、すでに生態学的能力および経済的能力以上の漁を営んでいる。多くの魚種が冷水域や深海へと移動している。これは、漁業が撤退したり、新たな装置や技術が必要となる可能性があることを意味する。規制面からみると、これらの傾向において、漁業資源の変化による勝ち負けの状態が起こるので、ガバナンスが重要な意味を持つことになるだろう。

世界の先住民漁業の重要性:先住民一人当たりの水産消費量は居住国の平均水産消費量の15倍に達する

沿岸に住む先住民の一人当たりの水産消費量が、居住国全体の平均水産消費量の15倍に達するという研究結果が、PLOS ONEに発表された(太田義孝、アンドレス・シスネロス)。これは世界で初めて、先住民漁業をグローバルな規模で定量的に分析した論文であり、日本財団ネレウスプログラムがオリジナルに作成したデータベースをその基盤としている。また、本研究は、漁業政策と社会的人権を一環として捉え、食糧(料)主権と文化アイデンティティが国際海洋政策において重視されるべきであることを提起している。

INFORMATION SHEET: 奴隷漁業と日本の水産消費

タイ、ミャンマー、カンボジア、インドネシアの男性達は、タイやその他外国籍の漁船で強制労働を強いられている。彼らの中には、数年もの間船上に留まらされ、賃金はかなり少額で、その上支払いは不定期、休みなく1日18時間から20時間もの労働を強いられている者もいる。また、脅迫され、身体的虐待を受け、長時間労働をするために薬漬けにされ、さらには病気になったり、逃走、反抗しようものなら殺されてしまうという実態が報告されている。(2016年米国務省人身売買報告書より)

メキシコは、環境保護の予算削減や生態学的持続可能な人間開発を優先することを再考すべきである

By Andrés M. Cisneros-Montemayor

メキシコで、2017年の予算が発表された。予算の削減幅が大きい上位5項目の中に、環境保護(37%減)、文化(30%減)、教育(11%減)が含まれた。政治的美辞麗句はさておき、これらの削減は、この分野が小規模な長期的問題であり、重要性も迅速性もない問題と捉えられている事を反映している。環境、文化、教育を重要視する国際政策の認識の高まりに矛盾するだけでなく、一連の人間開発目標に互いに関わり合うため、このような考えは問題である。

保全の事例研究:エストニアの自然保護

Richard Caddell(ユトレヒト大学/ネレウスフェロー)が先日発表した “Wilderness protection in Estonia“では、ヨーロッパ原生自然管理のケーススタディとして、エストニアの事例を用いた。 Caddellは、「エストニアで素晴らしい自然保護がなされていることは、あまり知られていない。エストニアでは、13世紀から人がほとんど立ち入らない自然保護区を設けており、EUの中でもこの分野に関して厳しい法規制を敷いている国である。エストニアの島々や沿岸の大部分の保全状態が良く、比較的手つかずの状態であり、さらに責任を持って運営されるエコツーリズム産業がある。

生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム(IPBES)報告書

生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム(以下IPBES)は、Methodological Assessment of Scenarios and Models of Biodiversity and Ecosystem Services(生物多様性と生態系サービスのシナリオとモデルの方法論的アセスメント)を発表し、William Cheung (ネレウスディレクター・科学)は、統括執筆者を務め、また第5章「自然の恩恵を人間が受けるために生物多様性における変化の影響に関するモデル分析」を共著した。この章では、IPBES アセスメントやその他利用者のための生態系サービスモデルやモデリングアプローチの近年の状態を説明し、政策や意思決定の文脈中で生態系サービスのモデリングへの異なるアプローチ法の利点と弱点を説明した。

国家管轄権外地域での海洋生物多様性についての第二回準備委員会が開催される

8月26日〜9月9日にかけ、国家管轄権を超えた地域での海洋生物多様性についての第二回準備委員会がニューヨークで開催された。
15日間に渡って開催されたこの会議では、法律文書を作成することを目的とした国連の2015年決議に従い、国家管轄権外における生物多様性の保全と持続可能な利用のため、国際的拘束力のある文書に含まれる要素に基づいた国連総会への提言を作成した。

政策概要:保全と持続可能な利用のためのスペース:国家管轄権を超えた領域における地域型管理

この政策概要は、国家管轄権を超えた海域(ABNJ)シリーズにおける、ネレウスプログラムの科学と技術の概要の一部である。この概要は、カナダ、ニューファンドランド島、セントジョーンズで2016年7月〜8月に開催された第4回国際海洋保全会議の前に開かれたワークショップにて作成され、8月26日〜9月9日に国連で開催された、国家管轄権を超えた生物多様性準備委員会の第2回会議ために準備されたものである。