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海におけるサルパの役割を再考する

なぜサルパは代役を担っているのか。サルパについての一般的誤認識は何か。Natasha Henschke(プリンストン大学/ネレウスフェロー)は、Trends in Ecology and Evolutionに掲載された論文“Rethinking the Role of Salps in the Ocean” の中でいくつかの問題を調査した。

サルパは、ゼラチン質動物プランクトンの種であり、よくクラゲと間違えられる。クラゲの研究は大幅に広がりを見せる一方でサルパはないがしろにされてきた。著者たちは、「およそ20年の間、サルパの生物学や生態系の影響についての総括的研究がなされていない。」と記述している。この論文では、サルパはクラゲである、珍しい生物である、栄養的に行き止まる、生物地球科学的循環で大した役割を果たしていないということを含め、サルパについての4つの誤解について考察した。これらの神話を疑った後、著者たちは、基礎生物学、気候変動下でのサルパが今後置かれる状況、栄養の役割、そして炭素循環における役割などを考察し、サルパについての今後の研究を提案した。

Image: "Salp in the Red Sea" by Lars Plougmann, CC BY-SA 2.0.

サルパは複雑な神経系と消化器系を持つゼラチン質動物プランクトンである。また、サルパは、少なくとも202にのぼる海洋種の食物源である。 Image: “Salp in the Red Sea” by Lars Plougmann, CC BY-SA 2.0.

要約:
サルパは、定期的に大規模な群れを形成する樽型ゼラチン質動物プランクトンである。サンプリングすることが困難なことを理由に、歴史的に無視されてきた。またサルパが持つゼラチン状のボディ構造は、それらが食物網と生物地球化学的循環の中で重要でないことを示唆している。私たちは、研究を妨げる要因となっている、サルパについてのいくつかの一般的な誤認を覆すための証拠を照合する。サルパは、炭素除去に重要な役割を持ち、魚、亀、甲殻類を含む少なくとも202種の食物源として海洋食物網の主要成分となっている。アントロポセンでのサルパの将来は不明確であり、それゆえ新しく革新的な研究室や現地測定法によって、基礎率プロセスや生物地球化学的影響といった分野においてさらなる研究が必要である。

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