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静かな草原から海洋まで:なぜ海草の草原が魚に重要なのか

海の下にある海草。海藻と混同しないで欲しい。海草とは、海水に浸った生活に適応した陸上植物だ。つまり、海草は、数百年前に海洋環境にコロニーを形成したと考えらえる海の陸草だ。東南アジアからスカンジナビア、北米全土、世界各地の熱帯地域や温帯地域で異なる種の海草が見られる。他の多くの生物にとって重要な生息環境を作り出しているので、「根幹種」として知られている。言うなれば、サンゴ礁や昆布から成る海草藻場は、地球規模で重要な海洋生態系であり生息域なのだ。この藻場は、非常に生産的で、堆積物を安定させることで海岸線の侵食を防ぎ、サンゴ礁と同様に豊かで多様な種のために、永久的な移動性の生息地を提供しているのである。

海草藻場は重要な生息地であり、沿岸域コミュニティーの社会的経済的利益をもたらす。 Image: Seagrass. California, Channel Islands NMS, Photographer: Claire Fackler, CINMS, NOAA, CC BY 2.0.

海草藻場は幼魚にとって重要な生息域である。これは、商業種であるニシンやタラ、そしてサケも含んでいる。未成熟の魚にとっては、藻場は補食種から逃れるシェルターとなり、そこで生産される植物プランクトンを食べ、魚は飛躍的な成長を遂げる。

海草藻場は地球規模で重要な生態系であり、商業種の幼魚の重要な生息域を形成する。 Image: Kelp bass utilize offshore eelgrass habitat, NOAA Fisheries West Coast, CC BY-NC-ND 2.0.

しかし、海草藻場は、世界中で驚くべき速さで減少してきており、ボートの行き来、トロール、および汚染による海草生息地の劣化によって生息地や食物網を崩壊し、重要な魚資源に悪影響を及ぼすと言われている。

Yoshitaka Ota(ネレウスプログラムディレクター・政策)は岡山県庁の鳥井氏、そして現在NPO里海づくり研究会議事務局長の田中氏と共著した、日本での生物的また文化的多様性に関する2011年CBD報告書で、岡山における海草生態系の復活の事例研究を記述した章を発表している。この事例研究では、地元の漁業者が、海の「つながり」を改善するために、それまで減少傾向にあった海草生息地の修復を成功させた瀬戸内海に面する日生の小規模漁業コミュニティーについて記述している。1950年代から1980年代にかけ、日生周辺の海草生息地は工業化により破壊され、水産資源が著しく枯渇した。水産資源を蘇らせるために、彼らは人工的に培養した幼魚を生態系に再導入したのだが、魚資源は改善しなかった。漁業者は自ら、問題は海草生息地の劣化によるものだと気づき、対象となる魚資源が頼っていた生態系全体の「つながり」を修復することが、彼らの漁業を修復する一番の方法だと判断した。その後、地元のコミュニティ、政府、科学者は、伝統的で科学的な知識を結集し、稚魚の保護と成長のためにアマモを慎重に再植した。彼らは1985年に12ha植えたのを皮切りに、およそ100haの海草ベッドを修復しており、地域の海が持続可能な漁業を支える「つながり」をゆっくりと保持している。 アマモは、豊かで多様な海洋生物を持つという本来の利点が生かされている。

サンゴ礁は、これまで生物多様性のホットスポットとして海草藻場より多くの宣伝を受けてきている。しかし、海草が沿岸域コミュニティーにもたらす豊かな社会的経済利益のために、海洋保護区域計画における海草生態系の導入を増加することを研究では推奨している。両方の生態系タイプは、気候変動や物理的人為的分断化に非常に脆弱である。適切な保全努力をしなければ、海草が支えている(これらの食物網の上部で重要な魚)生物多様性が、著しく危機にさらされる可能性がある。海草が非常に重要であるという認識を一般に高めることがその第一歩となるだろう。


KEILA STARK, B.SC HONS CANDIDATE, UBC
Keila Starkは、ブリティッシュコロンビア大学で、温帯海草生態系のメタコミュニティ生態系を研究している海洋生物学の特待生であり、ネレウスプログラムのコミュニケーションアシスタントを務める。彼女の主な研究の関心は、海洋保護区管理に情報を提供するために、どの生物的および非生物的要因が、地域スケールでのアマモに関連する草食動物の群集行動を決定するものであるかを理解することだ。彼女はまた、沿岸域コミュニティーの持続可能性を維持しながら、政策形成に大きな役割を持たせ、生物多様性の損失を緩和するために規律を統合する科学者を支持している。

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