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小規模漁業:漁獲と文化への貢献度を測る

By Victoria Pinheiro, Nereus Program Strategic Communications Lead

「最も普及しているシーフードサプライチェーンは、「海から食卓へ」という最短のものである。さらに言えば、最も情報が少ないサプライチェーンでもある。」とJack Kittinger(ネレウス研究員)は話す。小規模漁業は、世界中の沿岸コミュニティで不可欠であるが、グローバルレベルで見た漁獲への貢献度は過小評価されている。これは、政策立案者が、小規模漁業が支える人々やコミュニティへの社会的、文化的、栄養面また経済的貢献を見落としがちだということだ。デューク大学、国連食糧農業機関(FAO)、WorldFishは、政策立案者が見落としがちな側面を明らかにすべく、小規模漁業の世界的研究を計画してきた。

ネレウスプログラムは、提案された世界的研究の次なるステップを綿密に計画するために専門家会議を主催した。小規模漁業における分野横断的な公平さの問題に重点を置き、ネレウス研究員を含む国際的な専門家グループが、情報提供のために集結した。「世界クラスの専門家グループが、支援するために惜しみなく議論を交わした。」とJohn Virdin(デューク大学教授)と語った。

議論は丸2日間に渡り行われ、データ収集や研究方法、コミュニケーション戦略にまで及んだ。「実際に小規模漁業から利益を得ているのは誰なのか?そこでの社会的区分に取り組む必要がある。我々は、消費、雇用、収入に関するデータセットを掘り下げ、実際にこれらの分野に焦点をあてている。」 WorldFishのDavid Millsは話す。

「それは経済的観点である。我々は影に潜む定まらないものに取り組もうとしているのか。集計できない実体のないデータセットなのか?」と太田義孝博士(ネレウスプログラムディレクター)は答えた。

「会議において、小規模漁業は経済的価値以上のものを提供するということに合意した。それにもかかわらず、漁獲データ、経済統計の中で、大規模漁業が行う方法でその価値を表さざるを得ないというジレンマに苛まれている。分野横断型チームとして、我々は、小規模漁業が実に多様で体系的な貢献をしていることを理解し、表現することに尽力しなければならない。人々の暮らし、文化、アイデンティティなど実際に何が起こっているのかを研究しているのではなく、既存の知識や理解に基づいてこの問題を研究するという、これまで続いてきたミラーリングを防がなければならない。本当に必要なのは、ただ数字を変えることではなく、小規模漁業の公的価値に対する視点の変化である。」と太田博士は語った。

ワークショップでは、この研究が社会における小規模漁業の役割を包括的に示すべく、20人の専門家の知識を統合して活用し、研究開発プロセスの極めて重要な部分となった。ネレウスは、今後も素晴らしい機関と共に問題に取り組んでいく。

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