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国連海洋会議:2日目

By Jessica Spijkers, Nereus Fellow at Stockholm Resilience Centre

国連海洋会議の2日目では、SDG14「海の豊かさを守ろう」を目指す、多くの国家、非営利団体、ビジネス、及びその他利害関係者の関わりとコミットメントについて示された。2つの重要な総会と目標 14.2 および 14.3(海洋および沿岸の生態系を管理、保護、保全、および復元し、海洋酸性化を最小限に抑え対処すること)を取り扱うパートナーシップについて取り上げた。会議中には、海洋酸性化を最小限に抑えるというコミットメントを表明している、ソロモン諸島、イスラエル、ツバル、エストニアのような国々とともに、共通の課題に取り組むために、国際協力の強化の必要性が強調された。

共通の課題や潜在的な解決策を議論するために、利害関係者が一堂に会する興味深いサイドイベントが数多く行われた。

Lucy Harrington (ネレウスインターン)と Guillermo Ortuño Crespo(デューク大学/ネレウスフェロー)が、 Ocean Labでネレウスプログラムのインタラクティブな可視化について紹介。

このサイドイベント「革新的かつ持続可能な海洋経済」は、持続可能な海洋ベースの経済の問題と解決策の概要、そのような経済を動かす方法について非常に実用的で適用可能な例を提供するイベントとして注目された。

Sven-Erik Bucht(スウェーデン地方開発担当大臣)とDouglas Frantz(OECD副事務総長)は、海洋汚染や乱獲に見られる人間によって引き起こされた慢性的な病気の緊急性と重症性を強調し、うまく参加者の関心を広げた。海洋保護地域 (MPA’s) は、だんだん導入されており、スウェーデンのSmögenlaのように持続可能な水産養殖が大きな可能性を示していたり、持続可能な循環経済モデルが、多くのビジネスの実践への道を模索している。その会社の創設者たちは、彼らのサケ養殖工場の中で無駄のないモデルをどのように導入しているかについて素晴らしいプレゼンテーションを行った。サケの養殖で通常「有機廃棄物」として扱われる膨大な量の物が、代わりにタンパク質、薬、魚飼料、および食品サプリメントに使用される。バイオガスも生産され、肥料に使用される。

「フローモデル(図1)」は、技術が可能となり、法律が適切な後押しをしたら可能となるとても素晴らしい見本である。しかし、 Ms. Felismina Antia(モザンビーク政府)のプレゼンテーションで強調されたように、国々が孤立して行っても不可能である。例えば、モザンビークは、排他的経済水域の23% が MPAであるが、近隣諸国が同様の政策を実施していなければその効果はない。さらに、パネルディスカッション中には、革新的なアイデアや法律の拡大は、知識と目標をすべての人々が共有する場合にのみ機能する、と利害関係者の意見が一致した。

図1:Smögenlaxによるフローモデル。持続可能なサケ養殖のための無駄のないビジネスモデル。

サイドイベント「コーラルトライアングル – 世界の海洋生物多様性の中心地でSDG14を達成するためのパートナーシップ」は、地域の利害関係者が、関連する多くの課題に直面する中で、共通の問題にどのように協力できるかを示した良い例だった。インドネシア、マレーシア、パプアニューギニア、フィリピン、ソロモン諸島、東ティモールに渡る海域、コーラルトライアングルは、世界の海洋生態系の中心地で、食糧と収入の安全保障の面で、ローカル、グローバルの両方で重要な地域である。しかし、乱獲、汚染、持続不可能なツーリズム、プラスティック、がれき、違法貿易、及び気候変動といった差し迫る脅威が、その地域に大きな打撃を与えている。コーラルトライアングル内にある6か国の沿岸資源や海洋資源が直面する脅威が明らかになり、このセッションの参加者たちは、この地域に利益をもたらす解決策を提示し、議論した。

重要な議論のポイントの一つが、2007年に6カ国を含む多国間パートナーシップが結成されたコーラル・トライアングル・イニシアティブ、食糧安全保障(CTI-CFF)だった。インドネシア代表は、主権、繁栄、持続可能性を強化するために、受け入れ、アウトリーチ、青少年のエンゲージメントをどのように強化するかについて実践的な例を挙げながら、このイニシアチブへのコミットメントを確認した。フィリピンのECOFISH activeのプロジェクトマネージャーであるDr. Gina Greenは、共通の問題に実践的な解決法を提示した。これには、季節的な休業により漁業バイオマスを増やすことができるプロジェクトを実施する方法、および生態系に基づく管理を実施するために官民パートナーシップを利用する方法についての議論が含まれていた。さらに重要なことは、この地域での漁業管理における女性の役割について、ソロモン諸島のWomen’s Savings Clubの代表 Rindah Melsenが、美しく、勇気づけられる演説を行った。女性は、漁をしたり、魚を捌いて市場で販売したり、コーラルトライアングル内で漁業資源の主たる利用者である。それゆえ、彼女は他の利害関係者と話し、彼女のイニシアチブと同様の持続可能な漁業管理における女性リーダーの役割を強化するよう要請した。

Andrés Cisneros-Montemayor(ネレウスプログラムマネージャー)は、ネレウス報告書「海と持続可能な開発目標:コーベネフィット、気候変動、社会的平等」について国連総会議長Peter Thomsonと話し合う。

最後に、注目され出席者が多かったセッション「漁業における多国籍組織犯罪」は、脚光を浴びるのに相応しいものだった。漁業犯罪となる従来の見方は、違法・無報告・無規制な漁業(IUU)漁業の概念に取り込まれている。しかし、優秀なパネルメンバーによるディスカッションよると、漁業犯罪は、ドラッグや武器の密輸、人身売買、違法種貿易、マネーロンダリングなど、ますます複雑な大規模な犯罪ネットワークに結びついている。インドネシアの外交・漁業大臣であるDr. (HC) Susi Pudjiastutiによる、インドネシア海域において拡大する海上犯罪者ネットワークの破壊的な影響についての考察は印象的であった。この緊急の課題に立ち向かうために大胆な行動を起こしてきたが、これは国境を超えた問題であること、国際協力を通してこの問題に取り組む責任があることを強調した。国際連合インターポール特別代表Emmanuel RouxとUNODC副専務理事Aldo Lale-Demozは、大臣が提示した海上犯罪に対処する方法について議論した。国連条約のような既存の世界的な法的手段を用いて組織犯罪に対抗する、または犯罪情報諜報員やアナリストによって調整された対応を確保することが盛り込まれた。

まとめると、海について悲観している人々に希望を与える一日だった。すべての利害関係者たちが、間近に迫る緊急の問題について、深い知識とそれを特徴付ける相互接続性と複雑さの理解を伝えた。何よりも、講演者やパネリストたちが問題についてただ単に話し合っただけではなく、積極的な協力や参加プロセスを通じて可能な解決方法を実行するための共同責任も認識したことが大きな収穫であった。


JESSICA SPIJKERS, MSC, SOCIAL-ECOLOGICAL RESILIENCE FOR SUSTAINABLE DEVELOPMENT, Stockholm
ARC Centre of Excellence for Coral Reef Studies (Australia). She holds a Master in European Studies and a Master in Social-Ecological Resilience for Sustainable Development. In her PhD, she seeks to understand where, why and with what social-ecological consequences international conflicts over shared fish stocks occur. She aims to develop scenarios for future conflict under climate scenarios to develop recommendations on how to cope with and adapt to change, how to reduce the risk of conflict, and increase the prospects for sustainable, equitable use of shared marine resources.

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