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カツオかキハダか?マグロ漁業の資源状況と生態系への影響

マグロの水産資源が危機的な状況にあるという見出しを目にしたことがあるだろう。“Bleak outlook for sushi favourite as bluefin tuna levels drop 97 per cent(クロマグロの水準が97%低下し、寿司好きにとっては暗い見通し)” という記事がTelegraphに掲載された。CBS Newsでは、 “Sushi eaters pushing Pacific bluefin tuna to brink of extinction(寿司を食す人々が太平洋クロマグロを絶滅の危機に追い込む)”と報じた。

西アフリカの漁業、気候変動、養殖:世界銀行と西アフリカ地域漁業委員会ワークショップ

西アフリカは、気候変動に最も脆弱な地域となる可能性がある。この地域では、生計をたてたり、重要な食糧源を確保するために漁業に依存するところが大きい。現在、西アフリカの海洋資源は、乱獲や気候変動(気候変動に起因する海の温暖化により、その海域の魚資源がより冷たい海へ移動する)に脅かされている。ネレウスプログラムの研究によると、二酸化炭素排出量が現在のレベルで推移する場合、この地域では漁業関連の雇用は50%減少し、年間総損失は3億1,100万ドルになると見込まれている。

FishAdapt:漁業と養殖のための気候変動への適応に関する国際会議

Rachel Seary(ネレウスフェロー/ University of Cambridge/UNEP-WCMC)は、2016年8月8日もバンコクで開催された第一回漁業と養殖のための気候変動への適応に関するFishAdapt 会議に参加した。会議は、漁業や養殖産業での気候変動の適応の実践的な経験を分かち合う機会を提供することを目的とした。この会議には、27カ国から110人の研究者達が参加し、異なる地域や異なる生態系の設定下での適応戦略の施行例を広めること、漁業や水産業に関する気候変動適応とそこに頼っている社会の脆弱性に関する研究のための知識や今後の必要条件の近況を確認することを行った。

持続可能な水産養殖のための重要な5つの側面とは:養殖は世界の食料安全保障の一助となるか?特にアフリカではどうか?

水生種の養殖が、世界の食糧安全保障の課題を解決する重要な側面を担い始めている。漁業による水産物の供給は減ってきている。私たちが漁業による圧迫を減らすことこそが、魚資源を増やすことにつながる。しかし依然として、政府は、さらに魚が獲れるように水産業に助成金を支給し続けている。したがって、私たちの新たな方策として期待されるのが養殖である。我々は、動物性タンパク質の生産法を狩猟から畜産に変化させた。同様に、海では漁から養殖に変更する必要があるのではないか?これが私の議論である。養殖は、世界の人口増加に対応すべく、水産物供給をさらに促すための最良の選択肢なのだろうか。 養殖は、 8.8%ほどの平均増加率で、世界で最も成長している農漁業食品分野であることが明らかである。しかし、生態系への強い依存、設備からの環境への影響、あいまいな「養殖の持続可能性」の定義などから、養殖産業には悪いイメージがつきまとっている。

気候変動による海洋漁業、養殖、沿岸域の観光業、人間の健康への影響について:最新レビュー論文

2013-2014年に発表された気候変動に関する政府間パネル(IPCC) の第5次評価報告書では、気候変動と海の酸性化に対する海洋システムの脆弱性、影響、順応を強調していた。この研究分野は常に進展が見られ、この報告書が公表された後、“Observed and projected impacts of climate change on marine fisheries, aquaculture, coastal tourism, and human health: an update” が最新レビュー論文としてこのほど発表された。

食糧保全と持続可能性の間で

by Muhammed Oyinlola, Nereus Fellow

私たちは、どこへ行こうが無意識のうちに「私はここにいたのよ」と言いたげになんらかの痕跡を残している。カフェのマグカップに残した指紋、スーパーマーケットでかわす笑顔、仕事場では同僚にアドバイスしてみたり、はたまた他人の問題に首を突っ込み解決しようとしてみたり。(ここでは良い部分に注目しよう。)しかし、私たちは意識的に、また無意識のうちになんらかの問題を作り出している。一つ確かなこと。それは、良くも悪くも我々は確実に自分たちの一部を後に残しているということである。

一般市民に知らされない魚の適正価格:魚が海から減っても、魚の値段が上がらない理由

私たちが魚を買う時に、「お、納得のいく値段だ」と感じる“適正価格”を市場が維持するためには、海からスーパーへとつながるサプライチェーン(流通システム)に見えない事情が隠されているのだ。一般消費者が追跡したり、目にすることができないサプライチェーン全体をふまえた上で値札がつけられているという裏があるのだ。そして、それは持続可能な慣行が存在するような錯覚を与えている。