Languages

ニュース

レポートー海洋と持続可能な開発目標:コベネフィット、気候変動、社会的平等

健全な海を保つことが、世界の持続可能な開発に様々な形で有効である、という日本財団ネレウスプログラムのレポートが発表された。気候変動と社会的平等に取り組みながら、海洋を修復することで、貧困が緩和され、暮らしが成り立ち、世界中の何百万人もの人々の健康が向上する。

Download (PDF, 4.94MB)

「私たちの海が直面している環境および社会経済両面の課題は、危機的レベルにまで達している。このレポートでは、包括的な科学的観点から、海の持続可能性が私たちの今後の繁栄だけでなく生存の鍵を握っていることを証明している。」と太田義孝博士(日本財団ネレウスプログラムディレクター・政策)は話す。

6月5日から9日にかけて国連で開催された世界の海洋会議に向けられて準備されたこのレポートは、持続可能な開発目標14:海の豊かさを守ろう、についての初めての包括的レポートである。この目標達成のために、補助金の撤廃から酸性化を最小限に抑えること、また過剰漁獲に終止符を打ち、海洋保護区を作り出すことに至るまで、私たちの海を悩ます問題の鍵として国際コミュニティが賛同した7つのターゲットを概説している。

「魚資源が回復し効率よく管理できれば、漁業によって持続可能な食糧や生計がもたらされ、気候変動に対する耐性が増す可能性がある。持続可能な漁業により、雇用機会や生産性の高い漁業資源が保たれ、貧困や飢えを減少させ、適切な仕事や持続可能な経済成長が可能となる。」とWilliam Cheung(日本財団ネレウスプログラムディレクター・科学)は話す。

日本財団ネレウスプログラムは、2015年に国連が設定した海洋目標とそれ以外16の持続可能な開発目標との関係性に着目している。このレポートでは、海の持続可能性を達成する上での気候変動の課題や社会的平等における懸念に焦点を置く。

「気候変動と社会的平等の問題は密接に関連している。気候変動の影響を直に受けると予測されているのは熱帯の国々であり、開発途上の国々である。海面上昇により、魚は生息地を変えてしまうが、一方で人口は増加し、その人々が沿岸に移動している。不平等をなくすことは、持続可能な開発の核となる。」とGerald Singh(日本財団ネレウスプログラムシニアフェロー/ブリティッシュコロンビア大学)は話す。

他の持続可能な開発目標と共に海洋目標を達成するコベネフィットは、広範囲に及んでおり、すぐに明らかになるものではない。

「この結果には驚かれるかもしれないが、健全な海であることは男女平等の達成にも一役買う。漁業活動にはかなりの性差がある。女性は価値を認められず、報酬のない仕事をする。社会背景を捉えることは、取り残される人なしに持続可能な開発目標を達成する鍵となるだろう。」と太田は付け加える。

「健全な海であるかどうかは、脆弱なコミュニティの人々が栄養不良状態に陥るか、彼らに高品質のタンパク質が安定して供給されるかの大きな違いを生み出す。海は、様々な形で私たちの生活とつながっている。海を回復させることは環境主義者の夢ではなく、世界中の雇用、人間の幸福、豊かな暮らしや健康のためにも不可欠なのである。」Andrés Cisneros-Montemayor(日本財団ネレウスプログラムマネージャー)は述べる。

View a visualization of the SDG co-benefits. (Navigate with space bar and numbers keys)

Comments