by Andrés M. Cisneros-Montemayor(ネレウスプログラムマネージャー/リサーチアソシエイト)
ラテンアメリカ(さらには世界の大部分)における、乱獲と漁業コミュニティの衰退が明らかになり、また何十年もの研究と保全活動により、持続可能な漁業を可能にする政策に関して大きな転換期を迎えるかもしれない。各分野が、お互いの存在や各々がもたらす価値に耳を傾け、認識し、明確な責任を持つのだ。
1月12日、13日にメキシコ、メリダで第7回漁業管理代替案会議が開催された。メキシコ国内にいくつかオフィスを構え、主に持続可能な漁業を実現するための経済ベースでの解決策を見つけることに取り組む、国際NGOEnvironmental Defense Fund(EDFがこの会議を開催)に招聘された。住む場所や職業によっても解決策は異なるだろう。今回の会議で素晴らしい点は、メキシコのみならず、キューバ、ベイリーズ、チリ、エクアドルから漁師(主に小規模漁業)、水産加工業者、輸出業者、学者、管理者、NGO、政府関係者といった様々な参加者が出席していたことである。
異なる視点を持つ多くの人々(私の母国で)との素晴らしい討論を行うことに加えて、彼らにとっての持続可能性とは、またそれをいかに達成しようとしているのかについて話しを聞く機会でもあった。状況改善のための最善策を打ち立てるには、社会的、文化的、政治的、生態学的状況は重要ではあるが、千差万別の状況にある人々に共有される中核的な価値があるという事実をすぐに再認識した。
会議では、漁業監視と施行の問題に関するパネルの司会を依頼された。漁業関係者なら誰もが、開発途上国では特に難しい問題だとの認識があり、漁師と規制する側の両者が参加しているとなれば難しさが増した。緊迫した時間はあったものの、パネルとその後の議論では、圧倒的にポジティブな意見が多く、その中で多くの漁業コミュニティーが持続可能な漁業に向けた準備を整え、努力していることが見えてきた。そこで、公的機関は漁師らの努力を支持し、不正行為者に立ち向かうため共同で制作した方針を掲げた。キューバからのある参加者が、漁業法を守らない漁業者の問題をあまり抱えていないと話した時には、参加者の間でざわめきが起きた。
この会議のハイライトは、漁業に専念する女性の役割についてのパネルだった。このパネルには女性の漁師、漁業会社所有者、研究者が参加し、他の多くの参加者が心のこもったコメントを寄せた。個人的には、パネリストからの主なメッセージは、(1)漁業に従事する女性は、男性と全く同じことができる能力がある(より優れている場合もある)(2)一般的な誤解としてパネリストが指摘した、漁業に従事することで家庭生活を犠牲にするはずだという認識は誤りである、この二点だと受け止めた。記憶に新しいWoman’s Marchで表されたように、女性の権利、マイノリティーの人々の権利においてやるべきことはまだまだあるが、理想に近づいていると信じている。
アンドレス シスネロス・モンテマヨール, 漁業経済学
シニアリサーチフェロー(ブリティッシュ・コロンビア大学)2014-2016
プログラム・マネージャー/リサーチ・アソシエイト
応用漁業管理と生態系サービスを専門とする資源経済学者。変化しつつある世界で、持続可能な資源利用の実現を常に視野に入れ、最適な経済政策、共同管理、越境漁業、エコツーリズム、小規模漁業、原住民漁業に関連する研究を行っている。