Languages

論文ハイライト

北海における海の気候変動アセスメント報告書: 社会・経済的影響 ー 漁業

William Cheung (ネレウスディレクター・科学)とMiranda Jones (ネレウス同窓生)が共同執筆した章「社会・経済的影響ー漁業」が、北海における海の気候変動アセスメントに掲載された。この章では、漁業における生物学的、運用的、経済的懸念について、気候変動の「hot spot」として認定される北海の急速な温度変化に関して、近年の状況や今後の影響について言及した。北海とは、イギリスとノルウェーの間からヨーロッパ本土におよぶ地域であり、世界で最も重要な漁場として名高い。

生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム(IPBES)報告書

生物多様性及び生態系サービスに関する政府間科学政策プラットフォーム(以下IPBES)は、Methodological Assessment of Scenarios and Models of Biodiversity and Ecosystem Services(生物多様性と生態系サービスのシナリオとモデルの方法論的アセスメント)を発表し、William Cheung (ネレウスディレクター・科学)は、統括執筆者を務め、また第5章「自然の恩恵を人間が受けるために生物多様性における変化の影響に関するモデル分析」を共著した。この章では、IPBES アセスメントやその他利用者のための生態系サービスモデルやモデリングアプローチの近年の状態を説明し、政策や意思決定の文脈中で生態系サービスのモデリングへの異なるアプローチ法の利点と弱点を説明した。

気候変動による漁業の損失が、2050年までに年間100億ドルに及ぶ可能性

気候変動が現在の速度で進んだ場合、世界の漁業は2050年までに、およそ年間100億ドルの損失を被る可能性がある。それにより、漁業を食料源や生活収入の糧としている国々では、さらなる影響を受けるだろうことを指摘した日本財団ネレウスプログラムの研究論文がScientific Reportsに発表された。

IUCN 地球温暖化に関する報告書

Explaining Ocean Warming は、国際自然保護連合( IUCN )が海洋生物、生態系、商品やサービスへの温暖化による影響を考察した包括的な報告書である。この報告書は、12カ国、80人の科学者達によってまとめられ、9月1日〜10日にハワイで開催された IUCN世界自然保護会議において発表された。ネレウスプログラムの研究はこの報告書の二章に寄稿された。

南極海における紛争解決と調査捕鯨

Richard Caddell(ユトレヒト大学/ネレウスフェロー)の論文“Dispute Resolution and Scientific Whaling in the Antarctic: The Story Continues”がAsia-Pacific Journal of Ocean Law and Policy に掲載された。論文では、日本が南極海で行う調査捕鯨に対する国際司法裁判所による判決が意味することを調査した。

海におけるサルパの役割を再考する

なぜサルパは代役を担っているのか。サルパについての一般的誤認識は何か。Natasha Henschke(プリンストン大学/ネレウスフェロー)は、Trends in Ecology and Evolutionに掲載された論文“Rethinking the Role of Salps in the Ocean” の中でいくつかの問題を調査した。

コガシラネズミイルカが絶滅危惧種になったのは漁業の問題だけではなく、社会的、生態学的問題でもある

気候変動の記事が新聞の一面を飾ったり、1頭のライオンが殺された、という投稿がFacebookで一気に何千もの人々に拡散されるエコフレンドリーな世の中であるのに、絶滅の危機に瀕しているネズミイルカの存在すら知られていないということがなぜ起こるのだろうか。

コガシラネズミイルカは、1996年には600頭が確認されているが、2016年には60頭に激減しており、異常な速さで絶滅の危機に直面しているという事実が、今月初めにMexico’s Minister of the Environment and Natural Resources で報告された。最大でも1.5メートルにしかならない世界最小の海洋哺乳類だ。黒い目や、死後でさえも笑ったように見える丸い口を持ち、十分に可愛らしい要素を持ち合わせている。