漁獲された場所によってマグロの汚染濃度は変わる
By Colin Thackray, Nereus Fellow at Harvard University
海洋食物網で生体蓄積するメチル水銀や神経毒がマグロに多く含まれていることはよく知られている。マグロがより小さな魚やプランクトンを食べた小さな魚を食べる、これはメチル水銀がさらに食物網で拡大し、すべての魚が汚染される可能性があることを意味する
By Colin Thackray, Nereus Fellow at Harvard University
海洋食物網で生体蓄積するメチル水銀や神経毒がマグロに多く含まれていることはよく知られている。マグロがより小さな魚やプランクトンを食べた小さな魚を食べる、これはメチル水銀がさらに食物網で拡大し、すべての魚が汚染される可能性があることを意味する
Rachel Seary(ネレウスフェロー/ケンブリッジ大学博士課程/国連環境世界保全モニタリングセンター)は、マングローブと漁業コミュニティの生活の関係を理解することを目的としたフィールドワークを1ヶ月間カンボジアで実施した。
By Robert Blasiak, Nereus Program Fellow at Stockholm University
113年前まで時計を巻き戻してみよう。著名なドイツの動物学者Franz Dofleinが、日本沿岸の深海溝の海洋動植物を研究する最初の科学者になることを夢見て、2年間の旅に出るところだ。日本とロシア帝国が、開戦を宣言したという事態は問題であるが、数か月に及ぶ準備を中断することはできず、1904年の夏、彼は東アジア行きの蒸気船Prince Heinrichに乗り込むのである。
公海は、国際水域とも呼ばれるが、世界の海の64%、地球の表面の45%を占めている。公海は世界で共有されているが、どの国にも統治されていない。これは、海藻から魚やサメまで、公海の素晴らしい生物多様性が保護されていない状況であるということだ。
海は非常に広大である。その広大さと長期にわたって海上に出ることが、海を観測する科学者たちにとって難題である。街中や空港でできる気象学の大気観測とは異なり、海洋科学者が正確な観測をするためには、海上に出ることが必要である。科学者を海洋に連れて行くために特別に設計、装備された船を、研究船舶(RVs)と呼ぶ。
世界の海は、何億人もの人々の生計を支え、食料と栄養の安全保障をもたらし、また多くの国々や世界中の沿岸コミュニティーの雇用、経済開発や輸出による収入源としても重要なものである。しかしながら、これらの重要な生態系と漁業資源の状態は、何十年にも及ぶ持続不可能な搾取、過剰設備、ガバナンス介入の失敗により、急速に悪化している。気候変動や海洋温度の上昇により、すでに難しい状況がさらに複雑に、また不明確になっており、海洋酸性化、サンゴの漂白、魚の移動パターンの変化といった影響が目に見えてわかるようにもなってきている。
マグロの水産資源が危機的な状況にあるという見出しを目にしたことがあるだろう。“Bleak outlook for sushi favourite as bluefin tuna levels drop 97 per cent(クロマグロの水準が97%低下し、寿司好きにとっては暗い見通し)” という記事がTelegraphに掲載された。CBS Newsでは、 “Sushi eaters pushing Pacific bluefin tuna to brink of extinction(寿司を食す人々が太平洋クロマグロを絶滅の危機に追い込む)”と報じた。
水族館や水産市場へ訪れると、信じられないほどの種類の魚がいることがわかる。これらの魚は見た目だけでなく生活史の特質が異なる。生活史には、最大魚体サイズ、寿命、成熟年齢、産卵(卵の数)が含まれる。同じ系統発生、進化の歴史を持つ魚は類似の特質を共有する。逆に、無関係の魚は、時折、同様の特質を独自に進化させる。
海の下にある海草。海藻と混同しないで欲しい。海草とは、海水に浸った生活に適応した陸上植物だ。つまり、海草は、数百年前に海洋環境にコロニーを形成したと考えらえる海の陸草だ。東南アジアからスカンジナビア、北米全土、世界各地の熱帯地域や温帯地域で異なる種の海草が見られる。他の多くの生物にとって重要な生息環境を作り出しているので、「根幹種」として知られている。言うなれば、サンゴ礁や昆布から成る海草藻場は、地球規模で重要な海洋生態系であり生息域なのだ。この藻場は、非常に生産的で、堆積物を安定させることで海岸線の侵食を防ぎ、サンゴ礁と同様に豊かで多様な種のために、永久的な移動性の生息地を提供しているのである。
By Richard Caddell, Nereus Program Fellow at Utrecht University
水産物の世界的需要に対応するために、現在の漁業を大きく変える必要があることが顕著となっている。気候変動やそれに関する変化が、漁業資源の分布に重大な影響を及ぼすと予測されていながら、多くの漁師たちが、すでに生態学的能力および経済的能力以上の漁を営んでいる。多くの魚種が冷水域や深海へと移動している。これは、漁業が撤退したり、新たな装置や技術が必要となる可能性があることを意味する。規制面からみると、これらの傾向において、漁業資源の変化による勝ち負けの状態が起こるので、ガバナンスが重要な意味を持つことになるだろう。