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バイオマスモデリングと伝達効力:Mathieu Colléterがフェローシップを終了

バイオマスとは、生態系や地域社会における生物の質量である。バイオマスは次の栄養段階、食物連鎖の上位捕食者にとってのエネルギーとして考える。例えば、プランクトンのバイオマスは、ニシンに食べられるかもしれないし、マグロに食べられるかもしれない。 Mathieu Colléter は、ブリティッシュコロンビア大学でのネレウスプログラムフェローシップを終了した。彼の研究では、生態系モデリングについて、具体的には、生態系モデルを使用した世界の海洋のためのバイオマス推定について焦点を当てた。

「これは、捕獲量の可能性を予測することや、気候変動の潜在的影響を査定することにも使われる。この研究を進めるうちに、生態系の栄養機能の特定のパラメーター、伝達効力を研究するに至った。このパラメーターは、栄養ネットワークの異なるレベルでどれだけの生産力が失われているかを定義し、一般的に海洋生態系のためのバイオマス推定値を算出するために、生態系モデルで使用される。しかし、このパラメーターとその変動はまだあまりよく分かっておらず評価されていないのだが、今後の研究に関連してくるだろう。」とColléterは話す。

Colléter は、海洋および淡水の生態系をモデル化するためのコンピュータソフトウェアEcoTrophを使用した。EcoTroph は、食物連鎖の上位のバイオマスの流れのモデルを作り、生態系がどのように機能しているかを調べるために有用である。

Mathieu Colleter with fish

漁業科学の研究に励むMathieu Colleter

Colléter は、現在、ネレウスプログラムで行った研究に関する二つの論文を執筆中である。一つは、伝達効力についての論表であり( Colléterによると、意外にもこれまで例がないという。)このパラメーターを算出するために使われた現在の方法、異なる結果、生態系モデルで使用された値の信用を増すためのアプローチについて述べている。もう一つの論文は、世界の海のバイオマスと漁獲量見込みの推定に関するものである。

「ネレウスプログラムは、他にないユニークな経験をさせてくれた。分野横断という環境の中で、生態系モデリングについての私の研究を追求することができた。経済学者、海洋学者、社会学者などと共に、どのように私のバイオマスマッピングの結果が彼らの研究に利用でき、逆に彼らの研究を自分の研究に取り込めるのかを直接議論することができた。海洋科学の他の分野とのつながりを持ち、直接共同研究を展開することができるのは非常に面白い。この研究環境はとても心地よく、刺激的である。また私たちは、非常に多用なトピックについて素晴らしい共同研究を行ったり議論したりしている。」とColléterは語る。

Colléterは、今後、パリ政治学院にて環境政策に特化した Advanced Global Studiesの修士課程を始める。

「ネレウスプログラムでの経験から、科学と政策、この二つの存在により良い理解を見い出すため、科学と政策の交わるところでのキャリアを追求し、海洋生態系や気候変動のトピックについて研究したいという私の意志が強まった。」とColléter

「私は、共に素晴らしい時間を過ごしたネレウスプログラムの人々に感謝している。特に、太田義孝博士やWilliam Cheung博士は、素晴らしい指導者であり、私に刺激を与えてくれたことに感謝したい。そして最後に、このユニークな分野横断の研究プログラムの中で、私の研究を追求する機会を与えてくれた日本財団にお礼を申し上げたい。」とColléterは結んだ。

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