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乱獲と人口過剰:資源量に対して漁師が多すぎる、は本当か?

By Julia Mason, Nereus Program fellow at Stanford University

保全を推進する科学者の間では、世界の環境危機は世界人口の増加にあると考える傾向がある。漁業科学も例外ではない。乱獲の問題は、しばしば「魚の量の割に漁師の数が多すぎる」ことが必然的に漁業の減少につながっていると簡約される。

Fish and Fisheriesに最近掲載された論文の中で、この「マルサス主義」乱獲物語は、生産性のない議論であると主張する。水産物の世界的需要を押し上げる国家や機関の責任を転換し、開発途上国の小規模漁業を不当に避難しているからだ。さらに、その考えのために、政策権力者は、過剰搾取の根本原因にほとんど対処してこなかった。我々は、人口増加の圧力が、世界の生態系に大きな影響を及ぼしていることを認識する一方で、乱獲は単に人口によるものではないということを論じている。実行可能な政策オプションとともに、いくつかの原因をあげる。人口に加えて権力と政治が、漁業者と漁業環境との関わり合いに、どう影響するかを説明するべく、これらの4つの原因に焦点をあてる。

1 技術と革新

例えば、産業用トロールは、海から魚を漁獲する能力を飛躍的に伸ばす技術である。それは漁師の数の増加を遥かに凌いでいる。また一方で、エビ漁の網からウミガメを逃がすための「ウミガメ除去装置」のような持続可能な漁業装置の革新は、漁師の暮らしを維持しながらも、漁業圧力を減らすための鍵となる。

保全技術により漁業圧力を減少することができる。ウミガメ除去装置を通って網から脱出するアカヒメカメ。これらの装置は、漁業者やその関係者によって開発され、効果的に広く使用されている。

2 魚資源の需要と供給

グローバル化した経済は、経済的機会を広げているが、地方の食糧安全を揺るがし、魚資源への圧力を増加させている。いくつかの開発国、特にアメリカ、EU、日本での水産資源に対する不均衡な需要が、世界的な漁業努力を増加させている。一方で、搾取的な貿易協定は、地元の船を犠牲にして、遠洋船が罰せられずに操業することを許している。これは、EUとサハラ以南アフリカ間の合意に見られる。船舶の数に制限はあっても、漁獲を制限しなければ、装備が不十分な地元の船が、産業用ヨーロッパ船舶に勝つことはできない。

 

3 貧困、疎外化、平等

漁業者を貧困化させ、疎外化する不公平な社会構造は、他に頼るものを残さず、持続不可能な行動「社会生態学的罠」に陥らせるかもしれない。若く貧しい漁師たちは、信用にかけ、他に持ち合わせる装備もなく、さらには他の収入源が無いので、サンゴ礁に害を与えたり、若い魚を捕獲する漁具を使用する可能性が高くなるということが分かった。

 

4 ガバナンスと管理

不十分で腐敗した管理により、限度を超えて水産資源を採取する漁師が出てくるかもしれない。例えば、政府助成金は、食糧難の兆候があるにもかかわらず資源を搾取し続けることを促すかもしれない。それに対して、多くの漁業コミュニティが責任を持って彼ら自身の資源を管理する例がある。メキシコ、バハカリフォルニアのロブスター漁業は、国の割り当て内での漁業をするために厳しい地域基準を設け、自費で沿岸をパトロールし、結果として数十年の安定した漁獲量を生み出し、海洋管理協議会(MSC)認証を取得した。

管理が行き届くと、漁業を維持しつつも乱獲を抑制することができる。メキシコのバハカリフォルニアでは、ロブスター漁業を維持するために地域ベースで努力をしている。

これらの乱獲の要因に対し、漁業アクセスを制限したり、人口制限をすることで漁獲努力を減らすことよりも、より効果的で倫理的にはっきりとした直接的な政策手段により対処できる。破壊的漁業技術が問題である場合、特に開発過程での漁業を含め、イノベーションの誘因が適切な解決策となるかもしれない。搾取的な操業をする外国産業船に対処する開発途上国では、地域の食糧安全を保証するために、外国船舶のリースを制限したり、規制や境界線を効果的に施行したり、地域で公平な漁業権の配分に取り組んだり、といった政策を制定する必要があるかもしれない。漁業管理に人権目標を組み込むことで、貧困や疎外の問題の対処に役立つかもしれない。最後に、地元機関への支援及び、漁業での意思決定、執行と監視を含む努力により、強力な漁業ガバナンスを促進できるだろう。

著者たちは、これら4つの例がすべてを網羅するわけではなく、むしろどのように科学者たちが保全問題に取り組むかについての話し合いが始まったのだということを強調している。「全ての関連要因は、状況に適した政策を展開させるために、実験的に精査される必要があるということが私たちのメッセージの一つである。私たちは、漁業科学者、自然保護活動家、政策立案者が、漁業管理を形作る様々な物語の中で、権力や政治の役割についてさらなる考えに及ぶことを望んでいる。」と筆頭著者であるElena Finkbeinerは話す。



JULIA MASON 環境科学及び公共政策

スタンフォード大学

Julia Mason は、スタンフォード大学 Hopkins Marine Stationの博士課程に在籍中。気候変動の効果およびカリフォルニアやペルーにおける漁業の社会生態学的回復に関する管理について研究している。彼女は、変動する気候変動の中で、高度回遊性魚類や漁業生計を保護する動的管理アプローチに関心を持つ。

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