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ネレウスプログラムにおける気候変動による影響の予測モデルの不確実性に関する研究

気候変動は、海、また海に生息する生物種、海産物を食し生計を立てている人々に多大な影響を与えると予想されている。20世紀の初頭から、人間活動による二酸化炭素排出量により、海洋の物理的性質や科学的性質は変化してきている。海が温まり、酸素含有量が減っている地域も確認され、海洋種の生産性や分布に変化が起こっている。

気候変動が海に影響を及ぼしていることはわかっているのだが、将来どのような変化と対峙することになるのだろうか。

ネレウスプログラムの主目的が、この未来の予測である。予測の方法の一つとして、海洋生態系、そして海が人間社会の豊かさとしてもたらすものが、21世紀にどのように変化するのかというシナリオを構築することがあげられる。そのために、数的なシミュレーションモデリングツールが必要とされている。

科学的モデリングはその未来を見据える一つの方法である。

モデルとは、自然界で起こったことや起こる可能性をコンピューター上に表記したものである。モデルは、精密に地図化することが物理的に不可能な海のように、大きくて複雑なシステムを可視化できる。これらは、海のあらゆる詳細を再構築することを目的としているのではなく、物理的、生物的、人間のシステムの間に存在する複雑な関係性を理解できるように海の簡易化を図ったのである。これらのモデルツールにより、我々はどのように海洋システムが作動しているのかを正確に理解し、それと一致する未来のビジョンを科学的に明らかにすることができる。

昨年発表したネレウスレポート「Predicting Future Oceans: Climate Change, Oceans & Fisheries」では、異なる気候変動シナリオ下で、世界の海がどのように変わるかを予測するためのモデルを使用した。これらの予測は、物理的状況、魚資源の分布、漁獲量への影響の変化を含んでいる。

A computer model is used to show projections of how fish species may move towards the poles and into deeper waters in a high CO2 emissions scenario.  Source: Jones and Cheung 2015.

コンピューターモデルは、高濃度の二酸化炭素排出量シナリオ下では、魚種がどのように両極や深海に移動しているかを予測をするために使用されている。 Source: Jones and Cheung 2015.

しかし、科学者は預言者ではない。世界の自然は変化し、海、生態系、気候は非常に複雑であるため、科学的モデルは100%正確とは言い切れない。ある程度の不確実性を含むだろう。

多くの意思決定の過程において、政策立案者、ステークホルダーは、未来の海の予測にどれほど信頼がおけるかを知っておく必要がある。科学的海の未来の予測により、未来についての不確実性を予期したより適切な政策を決定できるだろう。確実性を考慮するのは日常のことである。例えば、私たちは週末に雨が降るかを天気予報で確認してから、ハイキング旅行を企画するかどうかを決定する、または、有価証券一覧からリスクを理解した上で投資の選択肢を決定する。信頼評価は、IPCC(気候変動に関する政府間パネル)が実施した多くの国際アセスメントが主要素となる。

私たちの未来の海の予測の信頼評価は、この研究の重要な構成要素である。

信頼を評価するためのフレームワークの構築と適用

最近、 ICES Journal of Marine Scienceに掲載された論文では、ネレウスプログラムの研究者とコラボレーターのチームが、気候変動下の海洋生物資源の予測信頼を評価するためのフレームワークを設計した。この研究は、未来予測の不確実性に対処するのに役立ち、同様のトピックを研究している他の研究者たちにとって役立つフレームワークとなるだろう。そして、最終的には、政策立案する際に重要となる海の未来の情報を提供することになる。

次に、Ecological Modellingに最近掲載された論文では、William Cheung、ネレウス統括・科学)、Thomas Froelicher (ネレウス同窓生)、Miranda Jones (ネレウス同窓生)、 Charlie Stock (ネレウス研究責任者)、Vicky Lam (ネレウスシニアフェロー) 、 Gabriel Reygondeau (ネレウスシニアフェロー)は、気候変動が海洋漁業に与える影響に関する予測が、異なったシュミレーションモデルが使われた際にも、同様の結論に達するかどうかを調べた。

ネレウスプログラムの研究は、気候変動の影響に対応する能力の低い熱帯海での漁業が気候変動に非常に脆弱であるということを強調している。このため、ネレウスプログラムは、熱帯海域と気候変動の影響を研究することに焦点を当てた新しい取り組みを進展させている。その取り組みでは、予測の不明確な局面を探求し、気候変動による海への影響の世界的、地域的な予測の信頼レベルを示すことにも挑戦する。

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For further information or interview requests, please contact:
Lindsay Lafreniere
Communications Officer, Nereus Program
Institute for the Oceans and Fisheries
The University of British Columbia
[email protected]

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