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繁殖戦略とロックフィッシュ:漁業管理のための生活史の特質のフレームワーク

水族館や水産市場へ訪れると、信じられないほどの種類の魚がいることがわかる。これらの魚は見た目だけでなく生活史の特質が異なる。生活史には、最大魚体サイズ、寿命、成熟年齢、産卵(卵の数)が含まれる。同じ系統発生、進化の歴史を持つ魚は類似の特質を共有する。逆に、無関係の魚は、時折、同様の特質を独自に進化させる。

マングローブ、漁業、コミュニティーの暮らし:インドネシアでのフィールドワークについて

海水に広範囲に根を広げ生育するマングローブは、人間および海洋生態系に多くの「サービス」を提供している。マングローブ林は、炭素を保存し、大気から炭素を引き出し、沿岸域の侵食を防ぐ。また、マングローブ林は、多くの重要な漁業に含まれる海洋種の重要な食糧源、隠れ場となっており、世界の熱帯地域と温帯地域の150,000km²の海岸線を覆っている。Rachel Seary(Cambridge/UNEP-WCMC/ネレウスフェロー)は、マングローブによる地域社会とその周辺の漁業への直接的利益、また沿岸漁業生産性への間接的利益の両方を理解するための調査を、インドネシア、バリにおいて現在実施している。

植物プランクトンから巨大マグロまで:気候変動が海の生態系のエネルギーの流れに及ぼす影響

植物プランクトンは、ほとんど全ての海洋生物にエネルギーを供給する根幹を為す。植物プランクトンの量により、その海域で捕獲できる魚の生息量を予測できそうに思うかもしれない。しかし、ネレウスプログラムの研究者による新しい研究では、この関係はそれほど単純ではないことを示している。

環境および社会経済的変化に伴うカナダの海や海洋漁業の将来を調査するためのシナリオ

Louise Teh(ブリティッシュコロンビア大学 Fisheries Economics Research Unit/リサーチアソシエイト)、William Cheung(ネレウスディレクター・科学)、Rashid Sumaila(OceanCanadaディレクター/ネレウスリサーチアソシエイト(名誉学位))が執筆した論文 “Scenarios for investigating the future of Canada’s oceans and marine fisheries under environmental and socioeconomic change“が、Regional Environmental Changeに掲載され、カナダでの海洋保全や漁業セクターでの既存のシナリオ分析方法(複数の潜在的な結果に基づいて将来の対応を準備する方法)を見直した。

地中海の生物地球化学の領域:客観的多次元および多変量環境アプローチ

Gabriel Reygondeau (ブリティッシュコロンビア大学/ネレウスフェロー)が筆頭著者として執筆した研究、“Biogeochemical regions of the Mediterranean Sea: an objective multidimensional and multivariate environmental approach” がOceanography に発表された。この論文では、地中海の生態系に生物地球化学/生体空間的枠組みをあてはめた。筆者らは、これまでの研究のほとんどが、海表面は異なる環境変数に作用されると仮定し、海表面の生態系を海底の生態系まで拡大することはできないと示唆している。そのため、この分析では垂直次元が重要であり、また小規模で深度によるゾーン分けの中での違いを考慮した保全管理の必要性を強調している。

世界の先住民漁業の重要性:先住民一人当たりの水産消費量は居住国の平均水産消費量の15倍に達する

沿岸に住む先住民の一人当たりの水産消費量が、居住国全体の平均水産消費量の15倍に達するという研究結果が、PLOS ONEに発表された(太田義孝、アンドレス・シスネロス)。これは世界で初めて、先住民漁業をグローバルな規模で定量的に分析した論文であり、日本財団ネレウスプログラムがオリジナルに作成したデータベースをその基盤としている。また、本研究は、漁業政策と社会的人権を一環として捉え、食糧(料)主権と文化アイデンティティが国際海洋政策において重視されるべきであることを提起している。

Colleen Petrikが2016年度のPICES科学委員会最優秀プレゼンテーション賞を受賞

Colleen Petrik(プリンストン大学/ネレウスフェロー)が、11月2日から11日にかけサンディエゴで開催されたPICES年次会議で科学委員会最優秀プレゼンテーション賞を受賞した。彼女は、ネレウスの研究で構築したモデルの結果を使用し、“The response of fisheries production to natural and anthropogenic forcing: past, present and future”というプレナリー・プレゼンテーションを行った。このセッションの詳細は以下。

Green Collegeセミナー:漁業における汚染物質に対する気候変動の影響

「私たちのエネルギー選択によって、他の多くの種類の汚染物質に影響が出る。水力発電:貯水池に洪水が発生すると、実際には神経毒性であるメチル水銀生成を促すパルスが生じ、CO2とメタンについても同じである。」とElsie Sunderland(ハーバード大学環境科学工学科准教授/ネレウスプログラム共同研究者)は話す。

種の密度に基づく海洋富栄養化損傷指標の空間微分

Miranda Jones (ネレウス同窓生/UNEP-WCMC) と William Cheung(ネレウスディレクター・科学)が 共著した論文、“Spatial differentiation of marine eutrophication damage indicators based on species density” がEcological Indicatorsに発表された。この論文は、海洋生態系に影響する富栄養化を査定するための指標の開発と沿岸水域への窒素負荷量に対する生態系の応答標識の導入を調査した。

英国生態学会の水生マクロエコロジー会議

2016年9月30日にロンドンで開催された英国生態学会の水生マクロエコロジー会議にて、William Cheung (ネレウスディレクター・科学)が、「気候変動下での今後の海洋生態系を予想するためにマクロエコロジーを適用する」という題目で基調講演を行った。