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Wilf Swartz

海洋漁業の世界地図

Sea Around Usは、過去10年間で、特に漁獲30%が無報告であることを突き止め、世界の漁獲に関するより正確な見解を構築してきた。Daniel Pauly とDirk Zeller率いる、273カ国からの400人の研究者たちによる研究成果が、Global Atlas of Marine Fisheriesと題した520ページの本に編集された。

国際海洋保護区会議 (IMCC4)

国際海洋保護区会議(IMCC) がカナダのニューファンドランド島、セントジョーンズにて7月30日〜8月3日に開催された。この会議には、「今後の海洋保護科学と政策への新しく強力なツールを開発する」ために海洋保護の専門家と学生を結集した。「海洋科学は重要な意味を持つ」をテーマに、今年の会議では、政策立案者や利害関係者に影響を与えるための戦略に対処し、海洋食料安全保障、海洋科学技術、海洋政策など、興味のあるいくつかのトピックに分割した議論が展開された。

本日の魚:なぜ水産物の旬は問題なのか

By Wilf Swartz(ネレウスプログラムマネージャー/リサーチアソシエイト)

季節ごとの食べ物を日本語では「旬」と言う。旬とは、ある特定の食べ物が、最も味の良い出盛り期のことである。現代社会では、多くの食べ物に「季節」を感じる事はあるが、残念ながら欧米では魚に季節を感じる事は少ない。「旬」を魚には感じる事が少ないのだ。いろいろな食べ物を旬の時期以外に味合うことができるが、 その食べ物から連想されることは変わらない。 いちごは初夏を、かぼちゃ、特にパンプキンパイや芽キャベツからは、落ち葉の音や七面鳥や感謝祭を連想する。そう、七面鳥には季節性があるのだ。中世には、寒い冬の夜に燃え盛る火の上でシカ肉が代わりに焼かれていたかもしれないが。言い切れないほどまだまだあるが、水産物は違う。ほとんどの水産物がなぜかその対象から外されているのだ。

専門家に聞く:世界の水産補助金(350億ドル)について

Rashid Sumaila (OceanCanada リサーチディレクター)とUBC Global Fisheries Cluster (Sea Around Us とネレウスプログラム) の共同研究「an updated estimate of global fisheries subsidies」が、学術誌Marine Policyに掲載された。この研究は、世界の水産業は年間350億ドルの政府からの補助金により支えられており、この補助金の大部分(年間200億ドル)が、乱獲等に繋がる漁獲能力拡大の助長に充てられている可能性があると指摘している。

世界の海のクロマグロの現状と未来-Bluefin Futures Symposium

1月18日から20日にかけての3日間、世界の海に生息する3種のクロマグロの保護と管理に関して第一線で活躍する専門家たちが、カリフォルニア州モントレーに100人以上集まり、Bluefin Futures Symposiumに参加した。科学、政策の分野、また企業からの研究者、そして保全リーダーたちが初めて国際的に集結し、現在の資源状況、研究の成果、管理体制の曖昧さというような、これら海の捕食者を漁獲するために、未来の持続可能性を保証する鍵を握るテーマについて議論した。

専門家に聞く:TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)は水産物の貿易にどんな影響を与えるのか?

10月5日、世界最大の自由貿易圏となる12カ国によるTPPが大筋合意に至った。日本、カナダ、アメリカ合衆国、ブルネイ、チリ、ニュージーランド、シンガポール、メキシコ、ベトナム、オーストラリア、ベルー、マレーシアの協定国を合わせると、世界経済の40%を占める。TPPは、魚介類への関税が排除されることによって、協定国間でこれまで以上に輸出入される可能性が出てきており、新しい環境基準や労働基準の導入が不可欠である。

ウィルフ・スワーツ博士(ネレウスプログラムマネージャー/リサーチアソシエイト)は、日本でのシーフードサプライチェーン管理や水産業の政策、また水産市場について研究している。ここでは、TPPが漁業や水産貿易にどのような影響を与えるかを考察する。

一般市民に知らされない魚の適正価格:魚が海から減っても、魚の値段が上がらない理由

私たちが魚を買う時に、「お、納得のいく値段だ」と感じる“適正価格”を市場が維持するためには、海からスーパーへとつながるサプライチェーン(流通システム)に見えない事情が隠されているのだ。一般消費者が追跡したり、目にすることができないサプライチェーン全体をふまえた上で値札がつけられているという裏があるのだ。そして、それは持続可能な慣行が存在するような錯覚を与えている。