Rachel Seary(ネレウスフェロー/ケンブリッジ大学博士課程/国連環境世界保全モニタリングセンター)は、マングローブと漁業コミュニティの生活の関係を理解することを目的としたフィールドワークを1ヶ月間カンボジアで実施した。
このフィールドワークは、 Royal Geographical Society (with IBG) 大学院研究賞から資金提供された。Rachelは、1回目のフィールドワークをインドネシア・バリ島のジュンブラナ県で、そして2回目の今回はマングローブに近接する漁業コミュニティで行い、この2つのコミュニティの比較研究を行っている。この研究は、ココン州ペアム クラサオプ野生生物自然保護区にある3つの村に居住する304家族の生活共同体、ペアム クラサオプコミューンに焦点を当てている。ペアム クラサオプ野生生物自然保護区(PKWS) は、珍しいマングローブの生息地として1993年に保護区として設立された。
保護区域の設立以前は、この地域は木炭生産の盛んな地域であり、有益な産業だったため、多くの家族が移り住んだ。その後、1987年には木炭生産のためにマングローブが違法に伐採され、1999年の違法売買が行われるようになって以来、この地域で漁業活動が盛んになった。マングローブ林やその付近での漁業で生計をたて、近年マングローブが破壊されてきた期間にここで生活してきたコミュニティについての興味深い研究を進める機会となる。
Rachelは、小規模漁業または自家消費漁業を行うペアムクラサオプコミューンの家族とのインタビューを実施した。マングローブから直接収穫する人や、主に海で漁業をする人を含め、様々な方法で、様々な水産物製品を漁獲する漁師を含んでいる。議論は、野生動物保護区での対象とした魚種の漁獲量、漁業地域の選択肢、漁業方法、ならびにマングローブの重要性や時間の経過に伴う変化について理解することを目的とした。
議論は、かつてはもっぱら漁村であったこの地域での職業の多様化、小規模ミドリイガイ養殖の人気の高まり、若い世代が海洋資源に依存しない職業へ移行していることなど頻繁に変わった。 それゆえRachelは、ペアムクラサオプコミューンがコミュニティがマングローブ林の直接及び間接利用から受ける現在の利益、将来の環境の変化に対するコミューンの適応能力や、ペアムクラサオプ野生動物自然保護区でのマングローブ林への依存度の変化を調査分析する予定である。