シナリオを構築することが、個人、コミュニティ、企業、国家が未来に対処する能力開発に一役買うかもしれない。シナリオは、積極的に思案し、来るべきものを予期し、行動するための重要なツールとなる。
Andrew Merrie（ネレウス同窓生）とMarc Metian（ネレウス同窓生）が、Henrik Österblom（研究責任者）と共同執筆した新しい研究では、変化する世界の海における未来の漁業についてのシナリオを構築するため、SFプロトタイピング方法論を用いた。
Brian David Johnsonによって開発されたSFプロトタイピングとは、「フィクションの短編作品であり、科学的事実に基づき、暗示、影響、技術や未来の予期せぬ結末についての対話を始める目的で作られた。」この方法は、特定の問題に関する予測される未来について想像する、集中的で創造的なものである。
“Fish Inc” by Simon Stålenhag, based on scenario two. Click to expand.
筆者らは、４つの「急進的な未来の海」を構築するために、海洋自然資源の利用において、これまでの状況、及び現在の新たに起こり始めた環境、技術、社会、経済動向について、経験的知見に基づいた背景を用いてSFプロトタイピングを使用した。
未来の海：
１．シナリオ１－Oceans back from the brink: 魚資源の保全を目的として、産卵魚を追跡するために人工知能が使用され、ロボットが海のごみを掃除し、深海への大気中の炭素隔離をする。崖っぷちの状態から海を回復させることが主目標である。
２．シナリオ２ーFish Inc：農業が衰退し、低酸素海域が拡大する中で、人間の食料を確保するために大量な人工生産や魚の移動ルートの操作など大規模な実験が行われた結果、多くの人間の生命を救う一方で海洋生態系に計り知れないダメージを残す。
３．シナリオ３ーRime of the last fisher: 2070年までに海は滅びる。これに先だって、アンチョビは完全に絶滅し、海鳥は死に絶え、水銀汚染は悪化する。社会階級と法の支配が消滅する。
４．シナリオ４－Rising Tide: 気候変動が海氷融解を引き起こし、大陸にすぐにその影響が押し寄せる。2037年までにバングラディッシュは海に沈む。社会的混乱は続いているが、炭素隔離と温室効果ガスの安定が進められる。これにより、海の酸性化が徐々に好転する。
生態学的（x軸）および社会的（y軸）寄与に基づく4つの将来の海洋シナリオの連続.
４つの未来の海が示しているように、海の問題や人間の未来は、私たちが海をどのように扱うかに関係する。長期的な資金配分により、地球規模の海洋生態系の再建努力への投資を生み出すことが明らかになった。最後に、このアプローチにより、一般の人々がこれらのシナリオに触れ、理解しやすくなるかもしれない。さらに、この研究は、発展しているガバナンスメカニズムについても情報提供している。
