William Cheung (ネレウスディレクター・科学)とMiranda Jones (ネレウス同窓生)が共同執筆した章「社会・経済的影響ー漁業」が、北海における海の気候変動アセスメントに掲載された。この章では、漁業における生物学的、運用的、経済的懸念について、気候変動の「hot spot」として認定される北海の急速な温度変化に関して、近年の状況や今後の影響について言及した。北海とは、イギリスとノルウェーの間からヨーロッパ本土におよぶ地域であり、世界で最も重要な漁場として名高い。
このレポートでは、北海やその周辺地域での気候変動を総合的に評価することを目的とし、過去200年間の気候の変動に加えて、生態系や社会経済、両分野における将来的予測や影響を取り上げている。
要約:
漁師や科学者は、気候条件によって、漁業資源の状況が大幅に左右されることを100年以上前から把握している。海面温度の歴史的データに基づくと、北海は、世界中に20カ所ある気候変動の「hot spot」の1つとして認定されており、今後100年間でさらなる温暖化が予想されている。この急速な温度上昇の影響として、資源加入量における種の分布と変動にすでに変化が見られている。この章では、世界で最も重要な漁場でもある北海における将来の漁業のために、気候変動が漁業にもたらす影響に関する最新の証拠を再検討している。議論は、生物学的、運用的でより広い市場の懸念だけでなく、起こりうる経済的影響に及ぶ。魚の群生とそれらを標的とする漁業は、50年または100年後には大きな変化を遂げるであろうし、その管理とガバナンスがそれに応じて適応する必要があることは歴然としている。