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ネレウスブログ

持続可能な水産養殖のための重要な5つの側面とは:養殖は世界の食料安全保障の一助となるか?特にアフリカではどうか?

水生種の養殖が、世界の食糧安全保障の課題を解決する重要な側面を担い始めている。漁業による水産物の供給は減ってきている。私たちが漁業による圧迫を減らすことこそが、魚資源を増やすことにつながる。しかし依然として、政府は、さらに魚が獲れるように水産業に助成金を支給し続けている。したがって、私たちの新たな方策として期待されるのが養殖である。我々は、動物性タンパク質の生産法を狩猟から畜産に変化させた。同様に、海では漁から養殖に変更する必要があるのではないか?これが私の議論である。養殖は、世界の人口増加に対応すべく、水産物供給をさらに促すための最良の選択肢なのだろうか。 養殖は、 8.8%ほどの平均増加率で、世界で最も成長している農漁業食品分野であることが明らかである。しかし、生態系への強い依存、設備からの環境への影響、あいまいな「養殖の持続可能性」の定義などから、養殖産業には悪いイメージがつきまとっている。

英国のEU離脱(Brexit)は、英国の漁業にどんな影響をもたらすか?政策、科学そして社会が直面する不確実性について

英国が欧州連合(EU)に残留すべきかどうかについての国民投票に至るまでの間に、議論の焦点となったのは、”移民”だった。しかし、水産業も国民の関心事となったことをみなさんはご存知だろうか? 漁師のテムズ川での船上キャンペーンを含め、EU加盟の影響に対するデモ行進や辛辣な議論が、海に関しても引き起こったのだ。 EU離脱には、漁業の将来に多くの不確実性がある。英国が、EUを離脱することによる影響を受けるであろう分野として、政策、科学、そして社会を挙げて解説を試みた。

海域をまたぐ魚類および高度回遊性魚類資源の管理:ネレウス、国連公海漁業協定査定にてサイドイベントを開催

魚に国境は関係ない。1982年に制定された国連海洋法条約により、沿岸国は、200海里水域まで伸びるエリア、排他的経済水域(EEZ)内で、漁業を管理する権利を獲得した。しかしながら、無論、魚は海の中に引かれた架空の線に固着することはない。

本日の魚:なぜ水産物の旬は問題なのか

By Wilf Swartz(ネレウスプログラムマネージャー/リサーチアソシエイト)

季節ごとの食べ物を日本語では「旬」と言う。旬とは、ある特定の食べ物が、最も味の良い出盛り期のことである。現代社会では、多くの食べ物に「季節」を感じる事はあるが、残念ながら欧米では魚に季節を感じる事は少ない。「旬」を魚には感じる事が少ないのだ。いろいろな食べ物を旬の時期以外に味合うことができるが、 その食べ物から連想されることは変わらない。 いちごは初夏を、かぼちゃ、特にパンプキンパイや芽キャベツからは、落ち葉の音や七面鳥や感謝祭を連想する。そう、七面鳥には季節性があるのだ。中世には、寒い冬の夜に燃え盛る火の上でシカ肉が代わりに焼かれていたかもしれないが。言い切れないほどまだまだあるが、水産物は違う。ほとんどの水産物がなぜかその対象から外されているのだ。

ネレウスプログラムにおける気候変動による影響の予測モデルの不確実性に関する研究

気候変動は、海、また海に生息する生物種、海産物を食し生計を立てている人々に多大な影響を与えると予想されている。20世紀の初頭から、人間活動による二酸化炭素排出量により、海洋の物理的性質や科学的性質は変化してきている。海が温まり、酸素含有量が減っている地域も確認され、海洋種の生産性や分布に変化が起こっている。

専門家に聞く:世界の水産補助金(350億ドル)について

Rashid Sumaila (OceanCanada リサーチディレクター)とUBC Global Fisheries Cluster (Sea Around Us とネレウスプログラム) の共同研究「an updated estimate of global fisheries subsidies」が、学術誌Marine Policyに掲載された。この研究は、世界の水産業は年間350億ドルの政府からの補助金により支えられており、この補助金の大部分(年間200億ドル)が、乱獲等に繋がる漁獲能力拡大の助長に充てられている可能性があると指摘している。

プロセスvsプロダクト:科学者としての創造力の役割

By レベッカ・アッシュ (ネレウスシニアフェロー/プリンストン大学)

私の母は、油絵、アクリル、水彩、ペンとインクで芸術を創作する抽象画家である。私が海洋科学者になってから、科学者としての創造力の役割について、時折母と話し合う。芸術と科学は異なる方法により交差すると、芸術家や科学者が語っていることに気づくに至った。しかし、両者は、芸術と科学が創造されるプロセスを全面に押し出す傾向にある。ここでは、私はプロセスを誇張しすぎではないかと言いたい。

食卓に並ぶクラゲ〜クラゲ漁はクラゲ大量発生への解決策となるか〜

柔らかくゼラチン質の体を持つクラゲは、一見無害の生物のように思われるかもしれないが、クラゲの大量発生は、人間の活動に有害な影響が引き起こすされる可能性がある。発電装置が目詰まりを起こしたり、養殖場の魚が大量死したり、魚網が破れたり、10トン漁船さえも沈めてしまったりする、様々な被害がすでに世界各地で起こっているのだ。そして、最近では、クラゲが、気候変動、または乱獲や富栄養化、沿岸開発のような人間活動により大量発生が引き起こされているとの分析が発表されている。

COP21:すべての魚はどこにいってしまったのか。気候変動が どのように海洋種を移動させているのか。

気候変動は、世界中の温度に影響しているだろう。しかし、すぐに明らかにならないだろうことは、気候変動が海の温度に影響を与えるだろうということだ。二酸化炭素排出量の相場がもし変わらなければ、平均海面温度は今世紀末までに2〜3.5度上昇することが予想されている。大したことのない温度差のように思われるが、多くの面で海に影響を与え、今日の海とは大分異なる様相となるだろう。

我々は、気候変動に適応しようとしているのか、それともただ身を委ねようとしているのか?

by Andrés M. Cisneros-Montemayor

自然、環境、保護についての指標となる本、A Sand County Almanacの中から、環境の変化に関する逸話を紹介しよう。

「私は、ガスという名の鳥猟犬を飼っていた。ガスはキジを見つけられないと、カオグロクイナ・レールやマキバドリを捕まえようと躍起になった。この不本意な代替物に対する情熱は、本物を見つけられなかった失敗を隠し、ガスの内面的な欲求不満を和らげた。」 – Aldo Leopold (1949)