オードリー・バルズ(2011-2014年、ブリティッシュコロンビア大学・ジュニアリサーチフェロー)の論文 “Keystone species: toward an operational concept for marine biodiversity conservation” が Ecological Monographs に掲載された。
要約:
キーストーン種と特定するための文献の中には、多様な定義と指標が提案されている。この研究では、海洋生物多様性の保全を促すために、キーストーン種の概念を使用出来るようにするつもりであった。キーストーン種の独占的な定義を用い、キーストーン捕食者の最初の概念に基づいて、生態系モデリングアプローチからKS(キーストーン種)の新しい 機能 指数を引き出した。はじめは、いくつかのKS指数は、MTI(海洋食物連鎖指数)基準とバイオマス種を組み合わせて判断することによって公式化されている。次に、メタアナリシスは、すでに発表されているEcopath が示す101 の食物連鎖モデルに基づいてスコアリング法で選び、世界規模での海洋生態系の多様性を表している。この指標をモデルに当てはめ、最も有望なKS指数を選ぶために二つの統計方法を比較した。順位相関テストは、異なるKS指数に対する影響力とバイオマス構成要素間のバランスを評価するために行われた。さらに、食物連鎖下位の種の特徴にあてはまる生態系特有の 閾値に基づいた 分類木が用いられ、これは特定されているキーストーン種を検証するためにも使用された。この選定された指標は、順位相関テストと分類木両方からの確固たる結果を携えた最多数のモデルの獲得に成功した。これまで適用されてきている既存のKS指標には限界があることを実験により示した。この選定されたKS指数を用いて、キーストーン種であるかどうかの推定に従い種を並べた。キーストーン種の可能性のある種は、定量的に101の食物連鎖の中で特定された。標準化されたモデリングアプローチにより、異なるモデル間で、特定されたキーストーン種を比較することが出来た。軟骨魚類やハクジラは一番の出現率であった。最後に、選定されたKS指数は、プリンスウィリアム湾(アメリカ合衆国アラス州)のよく知られたケーススタディとして用いられた。キーストーン種に重大な影響を及ぼす人為的要因(漁業)が、考察され、討論された。この運用法は、海洋食物連鎖に直接的に適用でき、また淡水魚や陸生動物など他の体系にも適用出来るだろう。

ラッコは、藻場生態系の中のキーストン種の歴史上の一例としてよく知られている。回遊型オルカは、プリンスウィリアム湾のEcopath モデルの中でキーストン種として特定された。 Image: “Orcas” by frostnip (CC BY-NC 2.0).