ハワイ・ホノルルで2月27日から3月3日かけて開催された、先進陸水海洋学会(ASLO)海洋科学会議にはおよそ4000人が出席し、今年初めの最大の会議となった。
Gabriel Reygondeau (ブリティッシュコロンビア大学/ネレウスプログラムフェロー)は、淡水と海洋システムの様々な側面を調査する研究者間での情報交換を促す目的で開催された会議で発表を行った。この会議では、淡水生化学から管理、衛生使用からDNAとゲノミクスまで、海洋科学の全てを網羅した。同時に、細菌、ウイルス、プランクトン、魚類、哺乳類などの各栄養段階の種、および全ての新しいモデルが考察された。
会議においては、「技術から種やDNAのカタログ作成までの「オミクス(omics)」に重点が置かれていた。次に私たちが求めるものは、DNAと生態学的問題にある謎に取り組む生態学者とのコラボレーションだ。」とReygondeauは話す。
また彼は、「同会議には気候変動に関するセクションは一つしかなく、管理についての講演は淡水資源に重点を置いている」と説明する。
3月3日、Reygondeau は、“Current spatial pattern of global and multi-taxonomic marine diversity”と題するプレゼンテーションを行った。そこでは、海洋生態系においてどのように熱レジームが生物多様性の緯度勾配を説明できるのかに焦点を当てた。
プレゼンテーション要約:
熱帯域で最大となり、両極に向かって次第に小さくなる緯度多様性勾配(以下LDGs)は、世界の生物多様性の最も注目すべきマクロ生態学的パターンの一つである。LDGsは、多くの分類群、期間、地域として現場で検出されている。海洋システムにおいては、最近の理論では、温度、また種の熱戦略間の相互作用(最適温度 及びニッチ幅)やそれらがさらされる温度レジームは、LDGの重要な部分を説明しているということを示した。ここでは、種の熱適応戦略や地理的分布(単一または複数のバイオーム内での発生)を定量化し、バイオームと分類群間の生物多様性のパターンに見られる主な違いを特定するために、植物プランクトンから海洋哺乳類までの43,175の現存海洋種について、5100万に及ぶ記録の世界的な多分類データセットを組み立てる。狭い熱幅を持つ種は、熱帯域で最多の種の豊富さ(以下SR)を有しながら急峻なLDGを示し、一方、温帯域では、幅広い熱幅が最高のSRを示す。温度勾配、種の温度戦略、それらの地理的分布が多くの分類群のLDGパターンを説明することを私たちはさらに示す。私たちの結果は、他のLDG仮説を補足する現代の世界的な海洋生物多様性のパターンについて統一された説明ができる。LDGの熱適応戦略や海水温度との予想可能な関係により、海洋温暖化による海洋生物多様性への潜在的な大きな影響が浮かびあがる。